「老いじたくのススメ」
高齢者介護の現場から見えてきたことですが、皆さんは働き盛りです。「老いじたく」はずっと後、老いなんてまだまだ先のことだよ、と思っているかもしれませんが、それこそ今、気力、体力十分なうちから「老いじたく」を考えることをおすすめします。病気一つせずにここまで来たけれども、明日はどうなるかわかりません。「一寸先は闇」なのですから。
私は、がんばらない介護をずっと提唱していますが、がんばらない介護をさせるためにも、どういう介護を受けたいかということをあらかじめ伝えておくことが必要です。聞いておくだけでは、言った、言わないで終わってしまいますので、それを書いておくことをおすすめします。
自分の生年月日とか、いろんなことを書いたあと、例えば認知症になって初期のときは「家族とともに過ごしたい」、それでも大変になったときは「施設に預けていいよ」「病院の方がいいよ」といったことを書けばよろしいです。もちろん、家族への感謝の言葉も書いていただきたいです。
奥様には、「長いことおれのような者につきあってくれてありがとう。君がいたからこそ・・・・・」と書いてください。上司や部下に対する感謝の言葉もよろしいですね。そうすると、自分の良さ、至らなさ、いろんなことが見えてきて、前頭葉も刺激され、生き生きとした毎日を過ごす糧になると思います。
書き終わった後は、絶対に認知症にも、寝たきりにもならないぞという決意表明をし、目標を立てる心構えをもってください。
ちなみに私は、車いすの生活になっても、「歌舞伎を見に月に一度は連れて行ってほしい。月に一度は高級レストランでディナーコースのお料理を食べさせてほしい」などといろいろ書きました。すると娘は、「こんなずうずうしいことを書かないでよ。せめて3ケ月に一回にして」と言います。「それじゃ、2カ月に一回で手を打ちましょう」と、子どもたちと折り合いをつけておくとよいでしょう。
何かあったらこの通りでいいから。お金もこういうふうに用意しているからなどと書くのです。元気なうちに書いておけば、安心して枕を高くして寝られるというものです。
大学ノートでよろしいので書かれることをおすすめします。宣伝ではありませんがその一助として私は「老いじたく覚書き〜あなたを守り、家族を支える安心ノート」という本を友人と一緒に出しています。
この本は、数ある同様のエンディングノートの中で、内容が濃いのに一番安いのが特徴です。自分はどんな介護を受けたいか、どんな治療を望むか、そして、どんなふうに死を迎えたいか・・・・・介護する人、される人にすぐ役立つ便利帳です。気力体力十分で判断力のあるうちに老いじたくをすることをおすすめします。
次は「家庭内介護保険のススメ」 つづく
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