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  ■  「そば通」ぶってませんか



  そば屋の店主の嘆き、「店で出すそばについて、ウンチクを並べるお客が増えている。困るよ」。この嘆き、わかるような気がする。ゴルフもそうだね。少しマスターすると「教え魔」に変身。相手にとっては、迷惑、千万ということをいつも目にしてきた。

  夏目漱石の「吾輩は猫である」。主人公の猫くんの主人・苦沙弥氏の友人・迷亭先生も「そば通」ぶる人として描かれている。

  苦沙弥氏宅に上がり込んだ迷亭先生の目の前に、みずから注文した出前のざるそばが運ばれてきた。「打ちたてはありがたいな。蕎麦の延びたのと、人間の間の抜けたのは由来頼母(たのも)しくないものだよ」と薬味をツユの中に入れて無茶苦茶掻き回す。「君そんなに山葵(わさび)を入れると辛らいぜ」と主人は心配そうに注意した。

  「蕎麦はツユと山葵で食うもんだあね。君は蕎麦が嫌いなんだろう」という迷亭先生は、蕎麦の食べ方を講義する。「奥さん蕎麦を食うにも色々流儀がありますがね。初心の者に限って、むやみにツユを着けて、そうして口の内でぐちゃぐちゃ遣っていますね。あれじゃ蕎麦の味はないですよ。・・・・・・・・」。

  昔から「そば通」がいたんですね。現代の「そば通」は、昔のように「そばの粋な食べ方」を知ってるだけでなく、蕎麦の蒔きつけ・製粉・効用・道具 ・・・・・・ ありとあらゆるものをマスターしてますね。講釈だけで簡単に「旨い旨い蕎麦」ができれば ・・・・・ うれしいことだが?。 しかし、「旨いそばを探求しているプロ」は、そばの無限の奥深さを少しでも多く会得しようという挑戦をおこたらない、というのが現実です。


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