■蕎麦の自慢はお里が知れる
信州の蕎麦歴史は、名産地にふさわしい内容が盛りだくさんです。男尊女卑の傾向が強い時代であったにもかかわらず、蕎麦に関しては女性を讃える様子が伺えるように思える。
「蕎麦の自慢はお里が知れる」 という諺があるという。この意味は、いい蕎麦がとれると自慢することは、米がろくにとれない土地ということをさらけだすことと同じ。だから、蕎麦の自慢は自慢にならない、ということだそう。
蕎麦は、殻をむいた粒を米の中に入れて炊く「蕎麦ご飯」。粉にして作る「蕎麦がき」「蕎麦団子」「蕎麦焼き餅」などにして食べた。粉ひきから調理までの仕事は、もちろん女性。そして、粉挽きは「夜なべ仕事」とされ、単調で根気のいる重い挽き臼を夜更けまで回したという。
その仕事は辛く、それぞれの地域の「臼挽き唄」として伝承されているという。
「臼をひきやこそあなたのそばで 間にや見るばか思うばか」
「臼の軽さよ相手の良さよ 相手代わるな明日の夜も」
「嫁と婿とは臼育ち いれて回せば 粉が出来る」
蕎麦の歴史は、女性が作り上げたということがでしょう。蕎麦好きは、女性に感謝感謝ですよ。
(蕎麦研究家 白澤孝一の信州の女流蕎麦打ち 参照)
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