■ 暖簾百年 気品が大事
福井県武生市(たけふし)の駅前近くに、古風な家並みが連なる一角に「うるしや」がある。大正初期に建てられた店内は、ほとんど手が加えないままだという。そのため、柱や梁・壁などは渋い光沢を発している。と雑誌で紹介されている。私はまだ訪ねていない。
江戸時代から代々続き、今の店主は7代目・梅田喜照さん。注文を聞いてから打ち始めるので、20分ほどの待ち時間を要するという。
そば打ちは一本の棒に巻き付け、丸く延ばしていく手法。福井藩が出雲のそば職人を連れて来てことが、武生そばの始まりだという。
そば粉は水に出会うとすぐに変化します。手早く打って、茹でて、最高の状態で出すことが大事。そば屋になりたての頃は、そばと格闘してねじ伏せようとした。ちょっと手助けしてやるんだ、というくらいの気持ちの方が上手くいく。そばは味さえよければいいというものではない。気品がなければなりません。
昭和22年、昭和天皇が福井巡幸の際、杉のせいろに盛り付けした「うるしや」のそばを食べたという。武生は「おろしそば」が名物。店の自慢は「なめこそば」。
それにしても、店を一人で切り盛りしていることに驚く。百年以上の長い年月、「暖簾」を守りつつけるには、その時代・時代において、さまざまなことを乗り越えなければならないことが伝わってきます。
(雑誌「太陽」 参照)
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