札幌・田中病院院長 田中良治 先生曰く。寝たきりとボケとオムツ、この三つは互いに関連がある。このどれか一つの状態になると、いずれは残り二つの状態になってしまいます。これは時間の問題で、一ヶ月から二年くらいまで幅が。一番大きな入口は、「寝たきり」です。
人間の脳は140億〜160億の細胞からなっていて、25歳を過ぎると1日10万個以上が消滅していくという。寝たきりになると、脳細胞の衰えは猛スピードになるという。
先生は、これからでも遅くないボケ予防のための 「ボケないための125章」 の本を出している。「カラオケはボケ予防の特効薬」「マージャンは負けても勝ってもボケ防止」「デパートはボケ防止の楽園」「妻まかせの亭主はボケやすい」「財産を子どもに譲ればボケてくる」「不眠症の人はボケにくい」などなど・・・・・。
でもボケてしまったらどうしましょうか。最近 「回想法」 という心理療法が注目され始めました。回想法とは、ボケたおとしよりに昔なつかしい生活用具を見せ、そして昔を語りあう。このことによって 「脳」 を活性化させ・過去の記憶をよみがえさせるのだという。
私も高齢者を訪問すると、話に華が咲きアットいう間に時間が経ちます。おとしよりは、誰かとお話をすることを楽しみにしているようです。しかし今の社会では、家族や周囲の人が忙しいため・ゆっくり話を聞いてやれないというのが実態なのかも。
そこで、「ミニ回想法」 家庭で取り組んでみてはどうでしょう。「五つ玉のそろばん」を与えると、「願いましては、一銭なり 二銭なり・・・・・・」。「お手玉・を与えると、ヒィー・フゥー・ミー・・・・・」。夏の思い出は、「蚊帳・ラムネビンなど」。冬の道具、「湯たんぽ・あんか・拍子木など」。小学校の思い出は、「ふで箱・エンピツ・教科書など」。一升マス・おひつ・裁縫箱・めんこ・おはじき・薬箱・わらじ・・・・・・・・・。
この回想法は、欧米諸国から始まりました。愛知県・師勝町では、回想法センターを設立し地域のケアに取り入れ成果をあげているという。効果を確認する試験では、過去の記憶がよみがえることで脳が活性化し、物を認知する力やうつの改善に有効で、介護負担の軽減にもつながることがわかったという。
この思い出ふれあいの手法は、全国の老人施設でも広がりをみせているという。おとしよりをかかえている方は、試してみてはいかがですか。
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