志ネットワークの青年塾・北海道クラスの襟裳講座に参加して、えりも岬へ春を呼べ 「えりも岬緑化への挑戦」を研修させていただいた。
「今日を生きるために 明日を食べてしまった人間」
えりも岬の百人浜に在る国有林200ヘクタール。昔は、カシワやハルニレ・ミズナラなどの広葉樹の原生林が台地を覆っていた。そこの前浜は海藻類や魚介が豊富で、住民はこの採取によって生計を立てていたという。
急速に移住者が増えるようになると、生活のために森林を伐採するようになったという。目的は、住宅を建てる材料や燃料の薪とするため。これに追い討ちをかけたのが、数度のバッタ襲来だという。
このため・えりも岬特有の強風が、草木の生えない赤土の禿山とさせてしまった。当時この光景は 「えりも砂漠」 と呼ばれ、半世紀にわたり続くことになったという。
光景ばかりではなく、この台地に続く10キロにわたる海岸の沖合いに砂が入り込み、コンブの根を腐らせ・胞子を死滅させ、コンブの生育と生産を減少させた。
「今日を生きるために 明日を取り戻したえりも岬の人達」
台地は海岸を浸食し住民は集団移転も考えたという。昭和28年、このえりもを蘇そうと、官民一体となった緑化事業が始まった。この様子は、NHKプロジェクトXで取り上げられ多くの国民が感動に浸ったのは記憶に新しい。
森づくりの挑戦は、「えりも式緑化工法」が無言で示すとおり、失敗・失敗・失敗、苦労・苦労・苦労の連続であったように感じます。植林により、海への泥流が減ると岩礁が姿を見せはじめ、コンブだけではなくサケも戻ってくるようになったという。
えりも町の水産農林課長・三戸充さんによれば、「これで終わってはいけない。今後は、一般の人の手を借りて育林(枝払い・間引き等)に力を入れることが大事。また、針葉樹のクロマツが砂地や風に強いことで植えたが、最終目標は昔のカシワやミズナラなどの広葉樹の森にすること。広葉樹は、葉が落ち腐りそして土をつくりそれが海に流れて漁場に栄養をもたらす」。
緑化の大切さはえりも岬に限ったことではない。人間の生活する上で怠ってはならないことの一つと私は思います。森の多面的機能の役割を、小さな時から・言葉だけではなく実践を含めて教えておくことが必要だと感じる。
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