com212.comに 「永田町は禿げ山ばかり」 が載った。年金と森づくりを重ねあわせたコラム、「なるほどなあ」 と思いをめぐらせてくれます。それは、先日訪れた 「えりも岬の森・復元」 とも重なる思いもする。
えりも岬は、かつてはカシワなどの広葉樹の原生林だったという。その前浜は海藻類と魚介類であふれていた。しかし、明治の時代にはいり開拓者が増えると、家の建築や暖房用の燃料として木を伐ってしまった。
その皆伐地を強風が幅をきかせるようになり、やがて赤土が大地を覆う 「えりも砂漠」 としてしまった。このためコンブの質は落ち、魚も寄りつかなくなったという。
昭和28年から始まった緑化事業が、苦労の末・緑を蘇らせた。これが効を奏し昔の漁場を取り戻した。紹介するコラムの年金問題は、子孫の代を考えた 「森づくりの精神で」 を訴えている。
「永田町は禿げ山ばかり」 com212.com 2004・5・31 コラムから
社会保険庁によると、国民年金保険料の納付率(2002年度)トップは、長野県根羽村(ねばむら)と福島県檜枝岐村(ひのえまたむら)の97.4%。市町村全体の平均は62.8%に過ぎない。議員年金だけで国民年金の給付額がざっと10倍という「永田町」の超低納付率と比べるべくもないが、この差はいったいどこから来るのだろうか。
人口が千人前後、互いの目も気になるし、都会に比べると行政の声も行き届く。意地悪くいうとオカミに従順なのか。まあ、そんな一面もあろうが、2つの村には、険しい山間地で人々が寄り添うように暮していた、という共通点がある。林業を支えにしてきた点も良く似ている。
愛知側から根羽村を訪ねると、県境までは散見された棚田も姿を消し、狭い山道が続く。幹周りが14メートルという杉の巨木もすごいが、全世帯が森林組合員で、1戸平均5ha以上の森を持っているというのにも驚かされる。しかも、大半が伐採による収益のためではなく、矢作川(やはぎがわ)の水源を守るために育てているのだ。
30年・50年かける森づくりは、己の将来というより子孫のため。同時に、下流域の人々のためでもある。考えてみれば、年金制度は森づくりそのものではないか。2つの村のナゾが解ける一方で、時空を超えて人々を思う心を欠いたセンセイに、改革を望むなど無理に思えてきた。
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