「ホッ・ホッ・ホータル来い、こっちの水は甘いぞ・・・・」。私の住む市渡地区、小さい時からホタルがいっぱいいた。外灯も満足にない時代だから、ホタルも月明かりを頼りにしていたのかも知れない。しかしこの頃は、パチンコ屋さんの遠くまで届く照明や水銀灯・蛍光灯の外灯、車の行き交うライトに戸惑うのか?、ホタルは少なくなりました。
道内では、ホタルの保存対策が真剣に取り上げられるようになりました。河川の改修についても、北海道開発局がホタル工法を採用し、ホタルが育つ工夫をしているという。
私の住む市渡地区は、ホタルはまだ飛び交っている。人間が動植物と共生しているということを忘れないで、用水路等の改修を進めることが大事だと思う。また、大野町自然に親しむ会がホタル鑑賞会を開催したり、ホタルを増やす運動をしている方もいることは、心強い。
2003・1・8付 北海道新聞・夕刊に、坂本与市 さんの 「甘い水にホタルはすむ・自然共生の象徴」という記事が載りました。この中から抜粋して紹介しますので、みなさんも 自然との共生 の大切さを考えてみてはいかがでしょうか。
「甘い水にホタルはすむ(自然共生の象徴)」 坂本与市 さん 酪農大学名誉教授
北海道田園生態系保全機構理事長
暮らしの中に自然が大切であるという意識は今日的な共通認識だ。しかし、自然がなぜ大切か? 「自然と共生する」 とはどんなことか? と聞き返されると、おそらく絶句する人々が多いのではあるまいか。
生き物の歴史で分かるように、全ての動植物は「種」の分化と絶滅の道をたどどっているし、地球自体が栄枯盛衰の歴史の中にあるから、自然をそのまま保全してみたところで何の意味があろうか。でも、ヒトが急に繁栄して他の植物に過酷なダメージを与えているのは事実であろうから自戒の言葉なのかもしれない。
浄化の連鎖 日本は古来、豊葦原(とよあしはら)の瑞穂(みずほ)の国、稲作中心の村々には用水路が縦横に走り、甘い水が流れていて田園生態系の中でヒトとホタルも共生していた。
甘い水とは、人里に流れる土水路で、米や麦がとがれ食器や野菜が洗われたりした水のことである。この水は栄養分に富んでいるからユスリ蚊や巻き貝の類育ち、巻き貝を餌にしてホタルが多かったのはこのためである。
甘い水の流れが次の村へたどり着くころには、生き物たちによって水は浄化され、この村でも洗い物水路として機能していた。まさに、ヒトは甘い水を流し、甘い水は水生小動物をはぐくみ、小動物は甘い水を浄化しながら、自らはホタルの餌になっていったのだ。もちろん、甘い水で育ったのは巻き貝やホタルだけではない、蚊(ボーフラ)やアブも育ったのである。
道内は有望 ホタルは世界に約二千種が生息。北海道にも結構多いのだが、ヘイケボタルだけがよく知られている。
空知管内沼田町は、ホタル温泉・ホタル館などホタルの町で有名。昨年のホタル祭りに招かれて出席した。成功の秘訣は、小川に野菜や果物の屑を放置して 「甘い水」 をつくったことだ。しかも、北海道に分布しないゲンジボタルが多い。この手の町おこしには常に篤志家がいるものだが、沼田町にもよい意味でのホタルマニアはいた。18年間もホタルに熱中した人である。
昨春、網走でのオホーツク・セミナーで田園生態系保全の講演をした時、近隣の酪農大卒業生たちが手分けして、ホタルに関して広範囲に聞き込み調査をしてくれた。それによると、刑務所内の排水路にも4〜5年前まではチラチラ点滅していた。でも、コンクリート水路に改修されてからは見えなくなった。しかし、今でも、郊外の未改修水路や水芭蕉群生地にホタルは健在だという。
昨秋、環境協議会の業務で函館界隈の大野川流域を視察したが、その折に絶好の「ホタル候補地」と思われる流域を見つけた。
大野平野には、農耕用の灌漑排水路が走っていて、その一部は渡島管内大野町と七飯町の境で居並ぶ農家の庭先を幅1メートルの土水路で緩やかに流れていた。家々の傍らには簡単な板橋が渡されて今朝も何かを洗った形跡があるではないか。
この用水路こそ、キャベツなどの屑を沈めておくと、きっと巻き貝などが育ち、やがてホタルも増えるに違いない。ホタルは自然共生のシンボルなのである。
|