大野平野地区(大野町・七飯町・上磯町・函館市)・国営総合かんがい排水事業は、昭和26年・調査計画以来28年目の昭和53年11月に完成した。
戦後の混乱期、民生安定のために食糧増産は緊急の課題であった。当時、「水争いにあけくれ、時には流血の惨事も」「水がなかなかこなくて7月半ばの田植え」「湧き水や井戸水などは水温が冷たく不適」「排水を各所で堰止めたために田んぼがぬかって困った」・・・・・・など、水を得ることは農家にとって一大事のことであった。
渡島平野の水田の深刻な用水不足を解消するために、大沼からの導水を付加したことが、今日の米づくりを可能にしています。
国費・約55億円を投入したこの施設、用水・排水路等が完備され、渡島平野の3,000ヘクタール水田の生産性を向上させました。
しかし、施設も寄る年波には勝てないようです。このため、「国営農業用水再編対策事業(地域用水機能増進型)・大野平野地区」として施設修理を国にお願いしています。
今までは、施設の新設事業については取り上げてくれましたが、修理ということは無理でした。しかし、「施設を大事に長く使用する」という最近の施設に対する考え方が、この事業を認めてくれた大きな要因だと思います。
この事業は平成13年度から調査を続けてきました。調査の最終年次である来年度予算として、全体実施設計費が8千万円認められました。計画では、平成18年度に工事着手し、9年間で完成の予定です。
事業の主なものは、大野川・一本木・姫川の頭首工、大沼取水口の取水水門、幹線用水路 10.8キロ、支線用水路 32.6キロです。
受益面積は、約2,500ヘクタール。受益農家 約1,300戸。総事業費 約180億円。国の負担が75%
北海道の負担は 17% 市町の負担は 4%(大野町の負担額 約4億1千万円) 農家・土地改良区の負担が 4%。
この事業に関連して「地域用水機能増進事業」が行われ、公園整備・親水水路・など景観や環境に配りょされた施設整備がされます。これによって、農村と都市との交流が活発になる期待がもてます。
また、この改善によって、水路の流れが容易となり水害防止の役目を果たし、更に防火用水に活用されたり、と農業の多面的機能が期待されます。
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