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◎大好き「きじひきの森」の作文 大澤千晶さん



  町は、森づくりに取り組んでいます。伐採して販売利益を得る目的ではなく、保水力のあるブナの木などを植え、環境や災害防止・農業水などで町民が利益を得ようという運動です。

  植栽場所は、標高400〜600メートルのきじひき高原・大野牧場の一部です。牧場面積は1,200ヘクタール、うち草地は700ヘクタールあります。しかし、放牧家畜が減り現実にはこの半分以下の草地で間に合う状況です。この放牧不要地の一部を、環境保全林として森づくりしようというものです。

  植樹・若木取り・種拾いなど、さまざまな体験メニューを用意し、お金をかけて森づくりをするのではなく、社会貢献の力を得て少しずつ整備を計画しています。

  この体験に参加した、大野中学校一年 大澤千晶さんが、体験を通して森林機能の大切さを作文にまとめ、かんぽ作文コンクールで道内部門の最高賞を受けました。今年の道内応募は1,968点・最高賞は6点という難関、昨年に引き続いての2連続受賞です。ご紹介しますので、いっしょに森林の大切さ、考えてみませんか。



      「森の豊かさ、大切さ」   大野中学校 1年  大澤 千晶 さん

 「きじひき高原に、かたくりの花を見に行こう。」
 5年生になって、大野町へ引っ越してきた5月初めの日曜日、父はそう言いました
 「えっ、きじひき高原?どこ?それ」
 母と私は、カメラを持った父と一緒に車に乗り込みました。
 これが、私ときじひき高原との初めての出会いでした。


 家からおよそ20分のきじひき高原には、薄紫のかわいらしい花をつけたかたくりが、まるでじゅうたんをしきつめたように、びっしりと咲いていました。
 ボランティアの案内係の人が「白いかたくりの花」を教えてくださり、何となくうれしい気持ちになったのを、今でも覚えています。


 標高400メートルもあるきじひき高原は、春にはピンクの山桜や、真っ白なこぶしの花が咲き、ブナの木の新緑がとてもきれいで、湿地帯にはミズバショウも咲いて、空気もおいしく、とても良いところです。
 秋には、とちの木やならの木のどんぐり拾いもでき、何といっても紅葉や函館山と大野平野を眼下にする眺望は最高です。


 その後、毎年きじひき高原で行われている町の植樹祭に参加したり、ブナの種拾いに参加したりと、何度もきじひき高原を訪れましたが、その時期折々の顔をみせてくれるきしひき高原が大好きになりました。
 
 森づくりボランティアに参加した時は、きじひき高原のブナの大木の下にある、ブナの木から自然に落ちた種で育った小さな幼木を掘り起こし、一定の場所に仮植しながら成長させ、数年後の植樹祭で植えるというものでした。
 何十年、何百年後、大きな木になり、林になって、やがては森へと変化していくことでしょう。


 毎年行われる植樹祭には、大野町だけではなく、函館や近くの町から千人近い人々が集まり、数千本もの若木を植えるのですが、山の斜面の硬い土をスコップで掘って植えるのはとても大変な作業です

 父に聞いたのですが、植樹祭で植えた木は百年後、たくさんの葉を付け、その葉が秋になり地面に落ちて土になり、その土の中に、たくさんの水と養分を貯めて、自然のダムの働きをするそうです。

 そして、きじひき高原から大野川を下り、函館湾の水をきれいにするだけでなく、海の中の昆布や魚にとっての栄養分を増やすことができるのだそうです。
 日高地方の「えりも岬」の漁師さん達も、長い長い年月をかけて森に木を植え、赤くにごった海を青い海に変え、昆布がたくさんとれる豊かな海にしたということです。


 きじひきの山も、簡単には大きな森にはならないかも知れませんが、毎年植樹祭などで若い木をくり返し植えることで、森を育てていけたら、やがてはすき通った水の流れる川をつくり、豊かなふるさとの海をつくることにつながるのだろうと思います。
 「私の植えた若木」がやがて大きくなり、たくさんの種をつけるようになればいいなと思います。

 森林は、生き物のすみかであるばかりでなく、水を貯え、地球温暖化の原因と言われる二酸化炭素を吸収するなど、私達の生活環境を守ってくれる働きをします。
 また、動物にとっては大切な住みかとなる他、食料の木の実をもたらしてくれます。
 川の上流に豊かな森林があると、森林の土の中に含まれる栄養分が川から海へと流れ込んで、多くの貝や魚を育てます。
 森林は、まさに自然の恵みの母なのです。


 さらに、森林は緑のダムの役割りを果たし雨水をたくわえて、少しずつ流す働きがあるので、水がかれたり、洪水になったりすることを防いでくれます。

 私は、これまでの体験を生かし、自然や限りある資源を大切にし、私達にもできる小さなことから一つずつ実行し、今だけ良ければいいのではなく、これからの将来、みんなが安心して暮らしていけるようにしなければならないと強く思いました。

 これからも「森の豊かさ、大切さ」をみんなで考えようではありませんか。


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