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◎人間の五感と森林・木の話 連載1 農学博士・梶本孝博さん



  平成17年度・北海道植樹祭が大野町きじひき高原を第一会場・八郎沼公園を第二会場として開催されます。開催日の春・5月15日は、きじひき高原・山桜のピンク・キタコブシの白・ブナの葉の緑が彩やかな時節です。また匠の森公園、カタクリの花は見ごろを過ぎますが、薄紫のシラネアオイ群生が見ごろとなるでしょう。皆さんの参加をお待ちしています。

  北海道植樹祭の盛会を祈り道水産林務部長・梶本孝博さんが、大野町中央公民館に来て「森づくり」の大切さを語ってくれました。その講演内容をシリーズでお伝えします。


平成17年2月2日(水) 大野町森づくり講演会から


  「人間の五感と森林・木の話」  北海道水産林務部長 梶本孝博さん(農学博士)


  今日は、目で見る、鼻で色々な匂いを嗅ぐ、食べる、触るなど人間の五感というのは、森林、木とどれだけフィットしているか、森林がいかに人間の身体や心にとって良いものかについて、色々な例をあげてお話をさせていただきたいと思います。

  森林の中を歩くと、血糖値は下がります。糖尿病に非常に良いというお話は、ご存知でしょうか。これは北大の医学部の先生も証明しています。

  水中で一生懸命歩いて血糖値を下げる、あるいは、自転車こぎで運動して血糖値を下げるなど方法は色々ありますが、このような運動よりも、山のなかを30分歩く方が何倍も血糖値が下がります。糖尿病の方は、是非、森林を30分だけ歩いていただきたい。


それぐらい、森林というのは人間の身体をリラックスさせ、そのことによって人間は森林から色々な力をもらって、それが血糖値が下がるという結果になっています。これは医学的にはっきり証明されています。


  森林の中にいると落ち着く、木に触ると心が和らぐ、人の心や身体は自然に非常にうまく対応できるようになっています。これは人間が進化してくる過程で得たものであり、私どもの血のなかには古くから流れているもので、自然と一体となって生きていることが、どれほど身体と心に大事なことなのかと言うことが証明されていると思います。

  私は道庁のなかで仕事をしていますが、コンクリートに囲まれた人工的なもの、画一的なもののなかで生活しています。本来的に人間が本能として求めている環境とは異質であり、このような環境にいるとストレスを感じます。

  昭和30年代、日本が本格的な経済成長をしようとする時期に、農村の皆さんが都会にどんどん仕事をしにいきましたが、今、Iターン・Uターンという形で都会から田舎に人々が移住し始めています。昭和30年代のあの時期に、現在のような「都会より田舎が良いんだ」ということで都会から人々が帰ってくるということを、誰が想像したでありましょうか。

  我々は寝食が充分になっています。後は、健康に留意をしたいと言う時に、やっと自然が本当に大事なんだということが解り始めてきたと思います。しかし、森づくりで街づくりをするということは、非常に時間がかかるということであります。

  先ほど、町長も盛んに植樹の話をしておりましたが、私どもは、昔から「山は三代」と言っており、山を育てるには三代かかり、おじいちゃんと息子と孫の三代かかってやっとはじめて山ができる。この三代にわたる長い継続した意志をもたない限り山づくりはできません。

  大野町は百年の森づくりということで、森づくりの基金条例もつくって色々な形で森づくりをしています。是非、今話したように、山は三代、そのくらい長期的な展望を持って山づくりをするという気持ちを固めていただければ有り難いことであります。

今日はこのように森がいかに人間にとって大事なのかというお話をさせていただき、三代かかっても自分たちの周りに大きな森をつくる、木を育てるという気持ちに、皆さんがなっていただければ大変嬉しいことであります。 次につづく

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