時事通信社が毎週発行する 「地方行政」 の平成17年4月18日の巻頭 「道標」に、依頼を受け筆耕した文章です。
「都市と農村との調和」 大野町長 吉田幸二
夢が実現します。北海道の水田発祥の地。大野町の稲穂たなびく大野平野に、10年以内に新幹線が颯爽とした雄姿を見せることが決まりました。北海道の玄関口となる「新函館駅(仮称)」が当町に設置されるので、期待は膨らみます。
新幹線は、わずかなエネルギーで大量の人員を運べる環境に優しい乗り物です。私たちも環境の改善に寄与する政策を実行することが大事だと思います。
わが町は、農業を基幹産業として歴史を積み重ねてきました。新幹線が来ても、優良農地を守ることが使命だと心得ています。
なぜ優良農地を守らなければならないのか。その答えは、農業が果たしている「多面的な機能の効果」にあります。
実践した事業では、老朽化した既存の農業用排水路を石垣を積んだ施設に改善し、ホタルなどの虫やドジョウなどの小魚を復活させる施設が平成17年度に完成します。
また、年月がたち老朽化した、国営で実施した農業用水路がまもなく180億円の国費を投入して改修されます。これに併せて、農家が野菜洗いができるようにしたり、散策路を造ったりしたりといったことを計画しています。
優良農地を守ることの大切さを理解していただくために、これらの施設を都市との交流の場として広く開放していくことも考えています。
水資源の確保も重要です。森の果たす多面的機能の効果は大きい。100年の大計で、環境を守るための植林を地域との協働で進めています。緑を増やさなければならないことは、国民は良く知っています。地方は気合を入れてしっかり自然環境を守っていることを、都市の人は忘れないでほしいと思います。
北海道新幹線に乗り、都会から田舎に、植林を手伝うなどの社会貢献を兼ねた 「環境観光旅行者」 がどんどんやって来てほしいと願っています。
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