今年消費者にデビューした道南だけに適した米「ふっくりんこ」、上々のスタートをきりました。初年度ということで、種の確保が十分ではなく、昨年は道南で約80ヘクタールの作付け、従って「売り切れ御免」の状況で消費者にご迷惑をおかけしています。今年の作付けは、昨年の3倍の240ヘクタールになり、販売量が増え正念場を迎えます。
ふっくりんこは、道南限定米ということで、「地産地消」・地元企業からも暖かい応援を受けている。函館市と近郊でハンバーガーチェーン店を経営する「ラッキーピエロ」が、本州米からふっくりんこ使用に切り替えました。
また、函館市の株式会社「オーエスケー」が、北海道発登場のお米で造った「ガゴメ麺」を開発。ふっくりんこ80%と、きらら397を
20%使用し、それにガゴメ昆布を使用した製品。発売の出番は、7月。先日、大野町八郎沼まつりで試食品がふるまわれ、好評でした。
「ふっくりんこ」は晩成種。霜の降りる頃に熟成、これがおいしさの原因でもあるのですが、まだ気候には経験不足です。夏場の低温を乗り切り、さらに早霜をかわす実績が将来の成否を決めそうです。
日本農業新聞・5月23日付け・「きらり農業人」に、生産者農家が紹介されました。良質米の生産に全力投球する農家に、消費者の皆さんが応援のエールを送ってくれることを願うものです。
「ふっくりんこ」の地産地消に意欲燃やす 大野町の稲作農家 斉藤 秀樹さん
渡島管内大野町の稲作農家、斉藤秀樹さん(55)は「日本人の長生きは主食の米を食べてこそだ」と、良質米つくりに意欲を燃やしている。1998年に道南で初めて、道優良米生産出荷共励会(道米麦改良協会主催)で部門別の最優秀賞に輝いたほどだ。
現在は、道立道南農試が開発した良質米「ふっくりんこ」の栽培農家でつくる「函館育ちふっくりんこ蔵部(くらぶ)の会長を務め、地産地消に力を入れている。
今の稲作は米の消費減が進み米価下落という受難期にあるが、斉藤さんは「必ず米作りの大切さが見直される」と確信している。米の復活期を呼び込むためにも、「良質米生産に努めなければいけない」と語る。
80年に自主流通米制度が導入され、米作りは「量」から「質」の時代へ転換。斉藤さんはいち早く品質向上に取り組み、92年に大野町で初めて1000俵(1俵60キロ)の全量1等米出荷を果たし、町から特別表彰を受けた。さらに、今は「安全・安心」の消費者ニーズにも強くこだわっている。
現在、稲作は12ヘクタールで「きらら397」が9ヘクタール・「ふっくりんこ」が3ヘクタールだ。このほか、トマト35アール、ホーレンソウ20アール、大豆4.5ヘクタールを作付けしている。
就農した1970年代は、農産物は「作れば売れる」時代だった。しかし、米の生産調整が叫ばれ、所属する同町稲作研究会で先進地の米作りを見聞。生産技術や組織力の重要性を認識し、町の支援を得ながら、良質米づくりに懸命に取り組んできた。
さらに、府県の米卸に売り込みに出向き、生産地の意識改革の必要性を実感。卸に均一な米を求められたことが、大野町での2000年の米穀乾燥調整貯蔵施設「函館ライスターミナル」建設の背景となった。
道南限定生産の「ふっくりんこ」は、道南農試が開発した食味に優れる新品種。生産から出荷までを厳しく管理し、道南の「地産地消」型のブランド化が目標だ。
それに取り組む「函館育ちふっくりんこ蔵部」の会長の斉藤秀樹さんは、「ふっくりんこのおいしさは味わって初めて分かる」と豪語。「農家がまずその食味の良さを実感してほしい」と各農家がPRしていく重要性を強調する。
「主食の米は丈夫な体と明晰(めいせき)な頭脳をつくっている。加えて価格は、ほかの食品より安い。米は健康、経済性の両面からかならず見直される時代がくる」と話す。
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