道南期待のお米「ふっくりんこ」、作付けが昨年の約80ヘクタールから約260ヘクタールに増え、本格的にデビューします。この品種は、大野町にある道南農業試験場で開発され、道南地方に育つ気候がピッタシ。「道南限定」の米として渡島・檜山に住む人たちが、こぞって消費に力を貸してくれることが、この米の将来を決める。
「ふっくりんこ」の安心・安全・高品質対策
@ 栽培者に生産履歴台帳を義務づけ A 無登録農薬の使用禁止 B 残留農薬等安全確認検査の実施 C 米穀施設トレサビリティの実施 D
施肥防除マニュアル・土壌分析による施肥・防除 E 高品質チェック表による確認
「ふっくりんこ」のおいしさの秘密は、最新鋭施設
「ふっくりんこ」は、大野町にある最新鋭施設・ライスターミナル(米穀乾燥調整施設)でつくられます。この施設の特徴は、自然乾燥に近い遠赤外線方式乾燥と低温籾貯蔵による今摺り方式です。
「ふっくりんこ」の地産地消の広がり
・ふっくりんこを80%使用したお米麺・「がごめ米麺」デビュー
・函館のハンバーガーチェーン店 ラッキーピエロ11店が、ふっくりんこ使用
・ふっくりんこと八雲町のもち米を使用した「いかめし」の製造販売
さまざまな方面で、確実に消費が拡大されています。
ふっくりんこは、「見た目が輝くような白さ」「ほんのり甘く・こしが強い」というおいしさが売り。更に、米づくりの達人生産者が「函館ふっくりんこ蔵部(くらぶ)」を結成し、粒揃い・蛋白質・白度・栽培履歴・農薬の適正使用など、消費者を安心させる安全な生産をしています。
北海道が宣言して進めている「スローフード」。この意味には、質のよい食材を提供してくれる小生産者を守ることが含まれています。また、子どもたちを含めた味の教育運動の一環として、郷土が生産する食材の良さを知り・守る、という意味も含まれています。道南に住む住民が一致団結してスローフード運動と捉え、地消に力を貸してくれれば、おいしい「ふっくりんこ」は全国に誇れるブランドになるチャンスが訪れる。
「まちブランド」
法政大学教授 岡崎 昌之 (町村週報・平成17年7月11日掲載)
「地域ブランド」が話題になっている。論点は二つあり、一つは地域特産品のブランド化のこと。もう一つは地域の個性やイメージとしての地域ブランドのことであろう。これら二つが混同され、いくらか議論が混乱しているようだ。
地域特産品としての地域ブランドとは、大島紬や南部鉄器などの伝統的工芸品、また夕張メロン、関サバ、越前ガニなどの農水産品などが話題となっている。その土地特有の伝統や風土に根付いた産物や役務に対して、商標としての保護を与えるべきだというものだ。
これまでは、地域名称は範囲が特定しにくく商標としてほとんど認められなかった。その結果、各地の特産品は類似品に悩まされてきた。しかし今国会に商標法の一部を改正する法案が提出され、地域ブランドも知的財産や商標として認められやすくなった。
今後産品の質を向上させ、他産地との差別化を図り、消費者の要望に応えるよう、産品のブランド性を磨き上げていくことが、まちづくりの観点からも欠かせない。
このことに深く関係してくるのが、もう一つの地域ブランド、地域個性やイメージとしての地域ブランドだ。特産品としてのブランド性を高めていくためには、それを生み出す地方が美しく、個性的で、魅力的な暮らしぶりを持ち、話題性に富んでいることが望ましい。
つまり、まちとしてのブランド性が高く、あのまちの人たちが食べている、使っているものなら、と関連づけて評価されることが不可欠である。特産品の素材としての地域資源と地域性が統一されたイメージとなってはじめて地域ブランドが形成されるからである。
日本初の自治体ワインづくりとして有名な北海道池田町は、その十勝ワインを池田町の産品を定着させるために、ヨーロッパ・ワインツアーを実施していた。東京や大阪の大消費地への販売量を拡大するよりも、町の中にワインを軸にした生活文化を形成するため、ワインの生活とは何かを、自由民とともにヨーロッパから学ぼうとしたのだ。
特産品としての十勝ワインの地域ブランド形成の前に、ワインのまち池田の「まちブランド」を構築しようとしたのだ。美しいまち、魅力ある暮らしぶりといったまちブランドがあってはじめて持続的な地域ブランドはつくられる。
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