北海道の高速道路、帯広方面はこま切れに整備され、財政難からうまくつながれていない。不便さを感じてしまう。九州新幹線、鹿児島〜新八代間から始まり、途中は在来線でつながっている。
北海道新幹線の要望活動は、札幌延伸に移った。3年後の見直しで、工事着工が認められることを沿線自治体は期待をしている。ここに来て、一歩先の札幌先行工事論も浮上してきた。住民の合意を得られるかどうか、議論の深まりを期待したい。
「札幌からの着工を 北海道新幹線・新函館から延伸に異論」
北海道大学・大学院・公共政策連携研究部教授 佐藤馨一 氏
建設新聞 平成17年10月27日 掲載記事
札幌延伸論が出てきているが、私自身は賛成できない。なぜなら、札幌からつくるべき」。佐藤馨一北海道大学・大学院・公共政策連携研究部教授は25日、札幌市内で行われたフォーラムで講演し、北海道新幹線の「札幌からの着工」を訴えた。
同フォーラムは道商連、道経連、道建協など道内の経済9団体が主催。「北海道の発展につながる社会資本整備の必要性」をテーマに講演した佐藤教授は、活力ある北海道づくりに欠かせない高規格道路や新幹線の役割を強調した。
中でも特に力を込めたのが、北海道新幹線の終点である札幌からの着工。待望の新青森〜新函館の着工で機運が高まる新函館から札幌への「延伸」に異論を唱え、札幌から新函館に向け新小樽、倶知安、長万部へと整備を進める合理性を力説した。
その論拠についても「理由は2つある。まず、延伸論では財政的に道庁が持たない。それに対し札幌着工の場合は、政令指定都市の札幌に応分の負担を求めることができ、道庁の負担が軽くなる。そして、2つ目が、ここにいる多くの人が札幌での工事を目の当たりにすることで、手応えと新幹線に対する関心が一気に高まる」と述べ、「どっちから造ろうが、トータルのお金は変わらない。建設の順序を検討し、大いに議論すべき」と提起した。
札幌着工の条件となる建設用地確保の問題にも触れ「公共用地として残しており、すでにクリアしている。JRタワーも新幹線のホームが設置されてもいいように、あの位置に決まった。あとは着工の順序を変えること」とし、会場を埋めた参加者に「ぜひ、ここにいる皆さんが(実現に向け)取り組んでほしい。それを伝えるのが、私が今日、ここに来た最大の理由」と水を向けた。
佐藤教授はまた、昨年1月に網走・北見地方を襲った豪雪災害を取り上げ「北海道では常にこういうことが起きる、ということを前提にしなければならない。実際に起きたときに、対応できるように準備するのが、社会資本整備」との認識を示した。
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