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◎少子化時代 大学が学ぶへきもの



  少子高齢化の時代にいよいよ突入です。懸念されるさまざまなことが起こります。数字上のことは把握そして理解できるのですが、対応策となると、行政は五里霧中というのが本音ではないでしょうか。

  保育所、保育園、幼稚園、小学校、中学校、高校、どの経営者も「頭が痛し」、というのが現実でしょう。行政には、子どもを産む環境、子供を育てる環境の整備充実が求められています。

  こういう中、大学生の減少も例外ではありません。大学生獲得のためのユニークな提案が、新聞に載りました。全てのことにつながる提案であり、私たちも一考してみましょうよ。



  「大学が学ぶべきもの」  土橋 信男さん  前北星学園大学長 現函館大学教授 
                              前札幌市教育長


                          十勝毎日新聞・平成15年7月12日 掲載記事


  北星学園大学・学長就任後いくつかの改革を試みた。その一つが、教職員の学生に対する心構えであった。私としては、特に教員に訴えたいという気持ちが強かった。

  「これからの私学は学生を顧客だと思って接しなくてはならない」という考えをどうしたらわかってもらえるだろうか。考えた末に、いろいろな場面で学長があいさつをする時にそのことを訴えることにして、分かりやすくするためのゴロのよい言葉として考えたのが、「げんさく、きのとや、ろっかてい」であった。

いずれも札幌の食べ物を売る店である。げんさくはラーメン、きのとやは洋菓子、ろっかていは言うまでもない帯広の札幌店である。わが大学も、この3つに学ぼう、といったのである。私の説明は簡単である。この3つの店へ行ってみなさい、いつでも客であふれている。大学もそうありたいものだ。

教員の素直な反応は、「冗談じゃない、大学と食べ物やを一緒にしてくれるな」であった。職員の反応は違っていたが、それでも私が何をいいたいのかは理解してもらえなかった。この3つの店に共通していることがある。それが私の訴えたいことだったのだ。

  客であふれている店はなぜそうなのだろうか。説明は簡単である。リピーターが多いからであり、リピーターはその店に満足しており、その店のファンなのである。つまり、店をはやらせる方法はファンを増やすこと、そしてリピーターを増やすことではないだろうか。

大学もはやっている「店」に学ぶべきではないか。と教職員に説明したところが、大学の学生はリピーターにはなり得ない、と反論された。確かに同じ学生がリピーターにはならない。しかし、ファンになれば、その後輩、友人、知人に自分の大学の良さを伝えるので、それが大学へのファン増加、すなわち入学志願者の増加につながるのではないか。というのが私の説明であった。

  日本で最も評価の高いホテルの総支配人から、そのホテルの従業員への心構えの基本を聞いたことがある。それは「入り来る人に微(ほほ)笑みを、出(い)で行く人に幸せを」であるとのことであった。そのホテルに来る客を笑顔で迎え、ホテルを出る時に、「ああこのホテルに来て幸せだった」と感じさせるように接しなさいということである。

  「げんさく、きのとや、ろっかてい」がなぜはやっているのか。それは、その店を出る時に幸せを感じているからであり、その結果ファンとなりリピーターとなるのだ。

  大学の場合に出る時というのは毎日の下校の時ではない。卒業の時である。卒業する時に幸せを感じられるかどうか。それがその大学の将来の繁昌を占うのである。さて、そのように考えれば、これは、いろいろなことに応用が効く。


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