市渡地区市街地の花巻スタンドから、国道227号を江差に向かって約4キロほど走ると、「子熊沢川」が国道横断しています。
この川には、「橡橋(とちのきばし)」が架かっている。橋のたもとには、開拓入植者の角田ハマさんという高齢者が住んでいる。
大雨が降ると、この川は水かさを増します。理由は、この川の上流にある大野牧場1200ヘクタールのうち700ヘクタールが、草地造成のために天然林を伐採したことです。
大量の雨水が一気に流れ、大きな石を上流から押し運んできます。ゴロンゴロンという轟音、夜間は不気味な寂しさだといいます。
都会に住む子供さんは、「街に出ておいで」という。しかし、角田さんは応じません。というのは、汗を流して開墾してきた歴史を考えると愛着があるのでしょう。
住宅は、国道に架かった橡橋から少し奥まったところにあります。角田さんの願いは、国道入り口に照明灯を設置してほしいということでした。
さっそく国道管理者の函館開発建設部に相談したら、橋の照明灯であれば設置可能、さらにお年寄りが住んでいるのであれば「前向きに検討」しましょう。ありがたい返事でした。
でも、今年の予算は決まっているので、早くて来年だと思っていました。
ところが、春にお願いしたこの件、「橡橋・橋りょう照明灯」として10月に実現しました。
国が弱者に配りょする姿勢、行政の人間味を感じました。
私はこの照明灯を、「国の人情照明灯」と名付けています。函館開発建設部職員の思いやりに対する感謝をいつまでも忘れないために。
人情照明灯は、私が大野町長に就任した平成11年春の出来事です。
今年(平成18年)は全国的に大雪でした。豪雪で家が潰され、高齢者が死亡するという事故が相次ぎました。角田さんの家も大雪に耐えるには、辛い古い住宅です。この2月、大雪を考え山を降りる決心をし、公営住宅に移り住みました。しかし、人情照明灯は照らし続けます。
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