公共事業に依存しすぎてきた会社に、「赤信号」の危険マークが点灯している。公共事業減少は、経営者・働く人・資材販売・食堂 ・・・・・・さまざまな分野に暗い陰を落としている。
このまま公共事業増大を期待していても、国の財政をみれば分かるとおり、希望はもてない。国が景気対策をして何とかしてくれる、という話は夢物語です。
一般に、公共と民間の受注割合を半々、若しくは民間の割合を多くすると経営は安定すると言われている。「公共事業に依存は危険」という危機意識を持ち、早くから行動をして脱出した話を参考にしてはいかがでしょう。
「血のにじむ努力」 志ネツトワーク代表 上甲 晃 さん デイリーメッセージから
公共工事に依存していたら、これからは生き残れない。それが、西野賢太郎さんの最大の危機意識であった。若いころからまじめに業界のあり方を考え、行動してきたからこそ、人一倍危機感が強かったのだ。どんなデータを見ても、公共工事が激減して、62万社ある建設会社の半分近くは生き残れないと、西野さんは、事あるごとに言い続けてきた。
最初は、「そんな馬鹿なことが起きるはずがない。国が何とかしてくれる」、社員はそんな受け止め方であった。ところが、この十年で、西野さんの危機感が現実のものになった。
「激減です。国は毎年3%の公共工事をカットすると言い、実行してきました。しかし、少し勉強すればわかることですが、業界の大半はメンテナスの仕事ですから、実質的な新規発注だけを取り上げれば、3%程度の削減ではない。大幅に発注が減ってきました。
それと共に、建設会社がばたばたと倒れ始めた。徳島でも、百億円以上の売り上げを上げる最大手の会社が二社、立て続けに倒産しました。そんな現実を身近に感じるようになって、初めて社員も私の言うことをわかってくれるようになってきました」と、西野さんは話のオクターブを一段と上げる。
改革を進めるにあたって、西野さんには高い志があった。「それは、志ネツトワークに参加していたおかげです」と、私を喜ばせる。「土木・建設業界では、考えられないような人達ばかりと出会うことにより、志を考えるようになりました。
「私は、この仕事を通じて、とにかく地元を活性化したい。それを頭において、何ができるかを考えてきました」とのこと。「生き残るために何をしたら儲かるか」ではない発想がすばらしい。
志を持つと、発想が広がる。例えば、海に海草を増やして、イセエビを育てる漁礁を開発した。結果は大成功で、全国紙に掲載され、各地の専門家が視察に来るようになった。地元を流れる那珂川の水源を見つけ、水源から河口まで、水系として地域を活性化する仕事も始めた。賃貸マンションなどの建設を始め、一般住宅も軌道に乗りつつある。
「社会の変化をしっかり見届けていると、可能性が次々広がります。最近、増築ではなく、家を狭くする減築が盛んです。高齢社会のもたらした新しい動きです。今までは口を開けていたら、大きく儲かった。これからは、血のにじむ努力をしても、小さな儲けしかない。しかし、本当の経営ができる時がきました」。西野さんは一段と大声で言い切った。
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