平成6年に結成した「大野そば愛好会」のそば打ち指導者は、共同通信社・函館支局長(当時)の勝碕捷二先生です。
師の打つそばは、十割のそば粉を冷たい水で捏ねる。お湯を使うと香りが吹っ飛ぶからだという。麺はそうめんより細い。茹で時間10秒。これを氷で絞める。本返し6ケ月のつゆをブレンドしてタレをつくる。(蕎麦酔夢 こだわりのそばに「声も出ず」もあわせてご笑覧ください)
師は転勤で東京勤務となったが、定年退職のついの住みかを、そば打ち仲間のいる旧大野に決めた。さまざまな教え子がいる。居酒屋の女性店主が手打ちそば ・・・・ など。そんな師に、すし屋の弟子ができたという。どんな道を歩むのか、外野席の私としては楽しみです。
「錦上花を添える」 勝碕捷二氏(空手古武道師範)北海道新聞「朝の食卓」H18.3.26
昨年10月、渡島管内旧上磯町(現北斗市)にあるすし屋の2代目という30代の男性がわが家を訪れ、「そば打ちを教えてほしい」と話しを切り出した。
父親の店は開業31年。「すしはスーパーでもコンビニでも売っている。すしだけでの生き残りは難しい。そばを加えようと思って講習会にも足を運んだが、納得がいかない」と言うのだ。
私が打つのはそば粉100%で細切りの生粉打ち(きこうち)江戸そばだ。東京時代には勤務のかたわら7年間、休日にそば道場を開いていた。
教えるにあたり3つの約束をした。一つはこれまで習った技を忘れること。新技術習得の障害になる。二つめはそばを単品で出さない。本命はすしだからだ。最後はそば屋以上のそばを目指す。「そば屋以上のそばを出すすし屋」との評判を取らなければ商品化する意味がない。
それから半年。年末年始の繁忙期を除いてほぼ毎週通ってきた。家でも仕事前に打っていると言うだけに腕はめきめき上達した。
「錦上(きんじょう)花を添える」。美しい錦に美しい花を添えてさらに引き立てるとの意味を持つ。すし屋のすしはうまくて当たり前、美味なそばと互いに引き立てあえば目的達成だ。
4月から宴会メニューに加える予定だ。すし屋のそばが「花」となるか、楽しみにしている。
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