小さなお手伝い。相手は望んでいるだろうと思い込み、親切心で実行。しか〜し、「小さな親切、大きなお世話」ということで、ガックリということありませんか。
相手の意思を確かめない行為は、いくら良い事であっても、受け入れてもらえない場合があります。ましてや、生活文化・風土の違う国との場合は、考えの違いは大きいと思います。
国際ボランティアは「有言実行」でという記事が、雑誌に載りました。ボランティア支援全般に通じる「警鐘」「教訓」となる「有言実行」、身近な問題に照らし合わせながら考えてみましょうか。
岡山県で内科医院を開業している菅波茂(すがなみ・しげる)さんは、特定非営利活動法人アダム理事長。アダムは国際医療ボランティア組織。戦争による難民、震災や洪水など自然災害の被災民、医療サービスの届かない開発途上国の人々や世界各地で辛苦にあえぐ人々に対し、多国籍医師団を派遣するなどの支援を行っている。
活動の基本は、「困った時はお互い様」という相互扶助精神。相手国の歴史を理解し、現地のニーズを最優先させてプロジェクトを実施するが、この時忘れてはならないのが、「支援を受ける側にもプライドがある」ということだ。
活動の前に「なぜあなたを支援するのか」を、必ず説明する。「説明のない親切」は相手に警戒心や不安感を与え、プライドを傷つけてしまう恐れがあるからだ。
1995年に起きたサハリン地震の時、最初支援を拒否された。こちらのリーダーは、「4ケ月前の阪神大震災でロシアから多大な支援を受け、被災者が感謝している。その恩返し」ということを伝えたら、支援を納得した。
「不言実行」は、日本では美徳でも国際社会ではマイナス。発言しなければ相手に伝わりません。1990年の湾岸戦争で、日本が多額の支援金を送ったにもかかわらず評価されなかったのは、メッセージがなかったからだと思います。説明ある「有言実行」が国際支援のカギです。
「現地で苦労を共にする中で、お互いに尊敬と信頼の気持ち、パートナーシップが生まれます。債務を棒引きすることは、一見親切そうですが、「あなたには返済能力がない」と言っているようなもの。これでは信頼関係にヒビが入る。
「100年、1000年かかっても、必ず返済してくださると信じています」というメッセージを伝え、相手のプライドを守る気持ちが大切です。100年後には、こちらが支援される立場になっているかも知れませんから」。支援する側は、決して傲慢になってはならない。
(月刊 「潮」 日本の主役から)
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