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◎「倒産したことも おかげさま と受け入れる」 上甲 晃さん



  「倒産したことも おかげさま と受け入れる


  倒産したとしよう。その事実そのものは、まことに困ったことである。何とかそれだけは避けたいと思って懸命の努力をしてきた者にとっては、死んでしまいたいような辛い事態でる。

それならば、絶望していたらやがて救われるだろうか、「嘆いても嘆いてもどうにもならないことは嘆いてはならない。おかげさまと受け入れろ」というのが、おかげ教の教えである。

ただし、手をこまねいていて、「おかげさま」と何度言ってみたところで、周りの人達は、頭がおかしくなったのではないかとしか思わないだろう。

おかげ教は、「おかげさま」とすべてを受け入れるとともに、「どうすればこれを生かすことができるか」と考えることもまた、大事な教えの柱である。「おかげ」と「生かす」は、おかげ教の教えの二本柱である。

  倒産したおかげで、生活は苦しくなったけれども、自分のやり方を全面的に反省する、最高の機会を与えられた。倒産したおかげで、新しい出発の元気が沸いてきた。倒産したおかげで、自分の甘さに気がついた。倒産したおかげで、会社経営をあきらめる決心がついた。そんな風に上げていけば、倒産もまた、なかなか意味のあることになる。

要するに、「倒産した」とどんなに悲嘆に暮れてみても、倒産からは救われない。それならば、せっかく倒産したのだから、「これを何とか生かせないか」と考えるなら、そこにおのずと道が開けてくる。

  最近、松下電器は、石油温風機の不良問題で、大きな困難に直面した。人命にかかわる欠陥があったために、単なる陳謝だけではすまなかった。何百億円もの損害が出た。

  普通なら、「あんな出来事があったから、業績が低下するのも当たり前」と考える。ところが松下電器は違った。「この深刻な出来事を嘆いてみたところで、何も解決しない。それならば、この忌まわしい出来事を、これからの経営に生かせないか」と考えた。

  その結果、日本中の全世帯6千万軒へのダイレクトメールの発送、全従業員による、顧客訪問など、徹底した欠陥品探しを行った。

  費用的には莫大なものが必要であった。しかし、金に代えられない大きな収穫もあったはずだ。すべての従業員が、「欠陥品を出すと、ここまで徹底したことをしなければならないのか」と、欠陥品を出す恐ろしさを骨身にしみたとすれば、これに勝る収穫はない。

  最近、世間では、「松下電器は大したものだ」と、今回の対応策を賞賛するようになった。大きなマイナスの事件が、いつの間にか、世間の評価を高める結果に変わっている。これこそ、おかげ教の典型的ご利益の実例だ。

  すべてをおかげと考えて、何とかこれを生かせないかと考えると、どんな辛い苦しい時でも、道は無限と思えるようになるから不思議だ。これこそ、おかげ教の一番のご利益である。



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