「なければないで そこに力が沸く」
松下幸之助を事例に取り上げた発表の中に、「人は、先輩達の力のおかげで、救われることが多い。しかし、そんな先輩を持たない人は、救われないかと言えばそうではない。そういう人が一人もいなかったことがかえって大きな力になって、そこに新しい発展の姿が現れてくるものである」という言葉があった。
私は、「かえって、それが新しい大きな力になって」という表現がすっかり気に入った。「おかげ教」の精神そのものである。「あればあるで越したことはないけれども、なければないで、かえってそれが新しい力になる」。
実にいい。いつもそんな風に考えるならば、道は無限に開かれていく。わが人生、「不可能はない」と言い切ってもいいかも知れない。
例えば、「うちのような零細企業には、優秀な人がなかなか集まらない。しかし、優秀な人がいればいるに越したことはないが、いなければいないで、普通の人達の力を存分に発揮させる工夫が生まれ、かえってそこに新しい発展が生まれてきた」というわけだ。
それにしても、「信仰」という言葉はなかなか意味が深い。信仰の原点は、「信じること」である。それを、科学的・理論的に考えようとするから、おかしくなる。「信じること」には、科学的・理論的証明など必要ない。
「来世が存在する科学的裏づけがないのに、信じるのは間違っている」と反論するのは愚かだ。「信じている」人は、誰もそれを否定できない。
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