「浅い海の森」、知ってますか。海藻や海草類は、光合成を行う光が届く海域にしか生育できないという。その海藻などの密生した状態を「海中林」というのだそうです。
海中林は、地球温暖化の原因となる二酸化炭素を吸収したり、葉についた汚濁有機物質を分解させて海水を浄化する役割を担っている。そして、枯葉は微生物によって分解され、プランクトンを増やす栄養素を供給する。海中林は、このように「環境保全機能」が優れているという。
魚によっては、海藻にしか産卵しない種類もあるという。ニシンもその一つ。ウニやアワビなどは海藻を餌として生育するという。
海中林は、「産卵場所の提供」、「稚魚への保育場所提供」、「生育するための食べ物供給」、「棲みかの提供」など、貢献する働きがとても大きい。
北海道の海中林は、大部分がコンブ。この海中林が、毎年大きく消滅しているという。原因は、「埋め立て」、「磯焼け(コンブなどの海藻が全くなくなった状態)」、「海況変化」、「乱獲」などが考えられる。
2006.4.23日付け北海道新聞・水俣病確認から50年「眠れる猛毒水銀」の記事の中に、海の森づくり推進のことが載った。水俣の海に森をつくりなさい。北海道からやってきた先生は、不思議なことを言った。「海藻で海に森をつくるのです。海藻は二酸化炭素を吸収して温暖化を防ぐ。赤潮を防ぐ。それ自体が生物のすみかになる。魚が増える。そして何よりも、水俣の海を浄化してくれます。という内容。これは、小樽水産高校を定年退職した・故 境一雄さんが水俣に足を運んで語りかけた言葉。
この教えを聞き、「自分は子供や孫に宝の海を残してやりたい」という漁協の組合長も現れた。今、海ではコンブの養殖、山では植林を始めているという。水俣の海をよみがえらせる運動が、成果を上げることを祈りたい。
私たちは、陸の森林にばかり目が向いているような気がする。私たちは、海の生態系に重要な役割を果たす「海中林」を消滅させないようにしなければならない。守るためには、海中林の大切さを一般に知らしめる情報公開を進めることだと思う。減少原因の多くは、人為的な埋め立てや浚せつであり、この部分についてはくい止めることが可能だからです。
(森が消えれば海も死ぬ 松永勝彦・著 参照)
|