昭和30年代の、わが家の裏山を思い出してみる。カタクリの花が、山裾に一面広がっていた。敷き詰めたようにビッシリ重なり合っていた。カタクリは原野・山地の落葉樹林の林床に生えるという条件に、裏山は合ったのでしょう。
母は、私が採ったカタクリの葉を、ゆがいてお浸しにして食卓にのせた。味はしっかり覚えていないが、「美味しい」という印象は残っていない。書物によれば、球根や花も食用になるというが食べた記憶はない。この頃は、家庭で口にするということは聞くことがない。
ユリ科カタクリ属の多年草。北海道から九州にかけて分布。種子はアリによって運ばれ、花をつけるまで7年を要するという。その後15〜20年開花を繰り返す。花は茎先に1輪ずつ咲き、花びらは6枚。陽が当たると反り返る姿は、凛としてたくましい好印象を与えてくれる。
根は、旧根茎の下に新根がつくので、毎年深くなる。栗の実を半分にしたような球根から「片栗」という名がついた。昔は、夏場にでんぷんを蓄える球根から片栗粉をつくったという。
大野地区には、下刈りをして陽が当たるようにしてやれば、あちこちにカタクリは咲くと思う。匠の森公園の群生地、きじひき高原の鉄山地区、向野の火葬場敷地内など、広範囲で花を咲かせている。陽があたれば、いつでもごあさつの環境が整っているように思う。
匠の森公園のカタクリの花、毎年一番指定席の場所が4日に顔を見せました。15日には、雪を突き破って出てきた元気なものや陽があたるのをグッと頭を下げて待つものも。匠の森研修センター近くの南斜面では、16日に満開となりました。大勢の鑑賞者を楽しませる約3ヘクタールの群生地は、雪が多かったため例年よりやや遅れぎみ。ゴールデンウィークにかけてが見頃となるでしょう。
匠の森公園で咲くカタクリの花は、濃淡を楽しむピンク色が主流。突然変異のアルビノ種という数万本に1本と言われる「白い花のかたくり」も、毎年2〜3本確認されている。匠の森研修センターには、管理人の撮影した写真が掲げられている。
カタクリの花は、夜は花びらをたたみ、頭を垂れます。陽が差し気温が上がると花を開きます。気温が高くなると、花びらを後ろにめくり上げます。20度くらいの気温が見頃といわれますが、北海道ではこの時期そんな温度は無理です。2枚の楕円形の葉が、地上すれすれに対生する様子も見逃さないでほしい。
匠の森公園のカタクリ群生地は、無料で観賞できます。本州では、入園料を取るところもあります。鑑賞者を群生地に入らせないために、トラロープで通路をつくっていたこともありました。盗掘や踏み付けを心配してのことでした。今は鑑賞者のマナーを信頼して、ロープは張られていません。
トラロープ撤去のもうひとつの理由は、カタクリの監視と説明のボランティアが協力していることですが、北斗市になって続くのでしょうか?。白いカタクリの咲いている場所などは、説明員に聞くのが一番なのですが。
早春の妖精・カタクリの花、子孫代々へバトンタッチするためにも、大事に保存する環境整備をすることが私たちの使命ではないでしょうか。
歌 「かたくりの花」 作詞 大木 文雄
「そっと触れても こぼれるような 細くやさしい かたくりの花 涙の後の つぶらな瞳
笑窪の君は もう居ない 故郷昔の ままなのに」
「そよぐ春風 うすむらさきの 匂いやさしい かたくりの花 水車の音に 夕焼け雲に
思いは巡る 初恋よ うるむ二人の うしろ影」
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