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◎小さな親切・大きなお世話



  若い時は、他人への親切は喜ばれる、と思っていた。ところが、親切がアダとなってハネ返ってくることもあり、人をお世話することの難しさを感じる時があります。

  農家の後継者の結婚は、田舎の世話好きな人が仲介に入りゴールインというケースが多かった。仲介者は、積極的に足を使い、涙ぐましい努力をして結びつけた例を、私はいくつも目にしている。こういう「田舎の世話好き」さんが姿を消したことが、農家後継者の独身の多さに影響しているように感じる。

  マーケティング・プランナー辰巳渚さんのあげた例を紹介します。ある知人は、習いごとに行く子どもを車で送り迎えするときに、子どもの友だちも「ついでだから」といっしょに送り迎えしてあげていた。ある晩、子どもが急病になり、たまたま車が家になかったことから、いつも乗せてあげている子どもの母親に電話して、「病院に連れてってくれないかしら」と頼んだ。ところが、その母親は、「タクシーを呼んだら」。「困った今だけは」との思いの結果は、つらいものだった。

  相田みつを・さんの読者からの手紙の一節を紹介します。婦人団体の役員をしているものですが、最近信用している仲間から「もうやめたほうがいい」と言われ大変ショックを受けている。私は元々自分からなりたくてなったわけじゃないんです。あなた以外に適任者がいないからぜひやってくれ、みんなから頼まれて、自分ではいやだったけれど、仕方なく引き受けたんです。それで引き受けた以上はと思い、家庭生活も犠牲にして一生懸命やってきたんです。

  「小さな親切・大きなお世話」という言葉があります。親切がもとで「逆うらみ」を受けたり、口をきかなくなったり、 ・・・・ さまざまなケースを私も目にしているし経験もしているが、一方無くなっては困ることだとも思う。これからは、行政サービスに頼るという権利は小さくしなければならない。息子・娘は遠くに在住などを考えると、ますます地域との共生が求められる時代となる。

  厳しく自立して生活する姿勢は大事だ。しかし一方、困ったときはお互い様という「親切」も併せ持つ世の中を、私たちは目指さなければならない。


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