最近気になる光景が目に入りすぎる。シャッターが下り「白い貼り紙」。ここも、あそこも、という形で「商店閉鎖」。店じまいする姿に不安を感じます。
小さい頃は子どもの専門店「一銭店」が、わが家の近くに3軒あった。くじを引いて当てる「風船」、大きいのが当たりの時の嬉しかったことは忘れることができない。ぬり絵、パッチ、ケン玉、しゃぼん玉、水鉄砲、模型飛行機 ・・・ 子どものほしいものばかり店に並べられていた。
こういう店には、親の付き添いはなかった。今は、大型玩具店に家族同伴で出かけて買い物が普通です。自分で店にでかけ、自分の判断で好きなものを選び買い物をする、という教育はよかった。
わが家の近くに「ストア」が開店した時は、都会になった気分を感じたものです。新鮮なものが安価で手にすることの喜びも大きかった。この喜びも束の間、何年もしないで「大型スーパー」の時代に入り、商店の危機が始まった。
通った高校の近くに「中島廉売」があった。タウン誌「街」(2006・夏号)に、二本柳美弥さんの「夏」というエッセーが載った。一部を紹介するので、当時の様子、よき時代の雰囲気を味わってみましょう。
「中島廉売魚屋通りに10数件の店が、狭い路地を隔てて向き合っている。廉売の商店街の中でも一番混雑するのが、この通りである。路地にさしかかると鮮魚特有の匂いが立ちこめ、買い物客は肩を触れ合いながら品定めをしていた。
まいどっ、朝イカだよ。生きてるよ。刺身にしなさい。旦那さんの酒の肴に最高。
6月解禁の真イカは形がこまいが、茶褐色で見るからにイキがいい。魚屋の兄さんが耳のところを爪で弾くと一瞬ビクッと動いた。まだ値が張るが、夫のため大きめなところを3ばい計ってもらう。
おくさん、皮むぐがい? 帰ったら切るばっかりにしてやるよ。
そのまんまでいいわ。皮くらい自分でむくから・・・・そのまま包んでちょうだい。
氷の入ったビニール袋を添えてもらい、買い物籠の一番上にのせ少し早足で言えに向かった」。
話は戻るが、大型ショッピングセンターは既存の商店経営に不安を与えている。国もようやく大型店舗の出店規制などの法整備により、既存商店街の保護をしようという動きを始めた。
高齢化の時代が始まった。平均寿命が右肩上がりの上昇を考えると、遠くへの買い物は無理な時代となります。高齢者に考えてやらなければならないことは、「行動範囲の中での買い物を可能にすること」、それと昔の「御用聞き商店」復活、これを考えてやることが必要になると思う。既存商店を、高齢者生活を守る視点からも保護は必要だと思う。
(タウン誌「街」 2006夏 511号参照)
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