きちんと暮すことが 生きる基本
*幸せ実感度に見る「本当の幸せ」
今回のツアーで、日本人のだれもが考えさせられた問題がある。それは、アメリカのある調査で、「幸せ実感度」を調べたところ、バングラデシュが世界第一位だったことだ。
日本人の目から見たら、「こんなにも貧しい生活をしている人は、きっと不幸のどん底にあるはずだ」と思う。そんな貧困の中にいる人たちが、「私たちは幸せだ」と実感しているのだから、頭の中が混乱していまう。
「私たちは貧しいので、不幸です」と言われれば、日本人の誰もが納得する。日本人は、「貧しいことは不幸」だと思い込んでいたから、懸命に物質的に豊かになる努力をしてきたのである。ところがどうだ。貧しいバングラデシュの人たちが、幸せを実感し、世界第二位の豊かさを満喫している日本人が、必ずしも精神的には幸せだと思っていないのである。
聞くところによると、人口1億4千万人のバングラデシュでは、自殺者がゼロだと言う。日本では、自殺者が3万人を越えるとも言われる。交通事故以上の犠牲者が出ている。「貧しいから不幸、豊かになれば幸せ」だったら、バングラデシュには自殺者が絶えず、日本は自殺者ゼロであるべきだ。
日本にも同じような時代があったそうだ。日本が、戦争直後の貧しかった時代、うつ病患者はいなかったと聞いた。事実はわからない。ゼロは極端としても、ほとんどいなかったというのは、間違いないだろう。
志ネットワーク 63 2006年7月1日発行(季刊)から
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