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◎親中派より知中派をめざせ



  「発展 発展 発展」

  中国の北京を22年ぶりで訪ねた。少しでも中国のことを知りたいと思いつつの旅でした。13億人の人口と広大な大陸は、島国の日本とは様相が異なることを肌で感じる。以前は、私の頭の中には、後進国的イメージがあった。しかし北京の発展を見ると、先進国の中の先進国を感じるようにまでなっている。課題は、大都市以外で暮らす9億人の人々との格差、これを早く改善する政策に移りつつあるように思える。

今回再訪問して感じることは、都市開発・食文化・環境・・・あらゆることが急激に変化を見せ始めていることです。国にプラスになることは、間髪入れず実行する。そして、青年たちの勤勉と努力する姿勢がすごい。北京オリンピック・万博・アジア大会と、大型行事にあわせての改革は、万全の狂いなく進められているように写る。土地を国が管理していることのなせる業なのかも知れない。

  「経熱政冷の心配」

  自動車は、フォルクス・ワーゲン社の車が半分を占めるという。日本の自動車は、燃費が良く故障が少ないので売れていると思ったが、まだまだのようである。すべての商品にいえると思うが、欧州・韓国の販売戦略は手ごわい。経済交流に対する日本の出遅れは、相当大きいことを感じるとともに、今後の苦戦も予想される。小泉首相の靖国参拝問題があって、経熱政冷時代とも言われ、日本にとっては心配なことが横たわっている。

  松下政経塾で研修をうけた、中国社会科学院の大臣官房・韓志強さんの話。中国の高度成長は外国投資に支えられている。現地の人と共に利益を分配することで、今後も発展が進む。中国の人口は13億人。今、光があてられているのは、大都市に住む4億人。今後は奥地に住む9億人に光を当てることが中国の課題だ。ということは、経済の高度成長はますます進むということであり、日本の果たす役割も期待できる環境に写ります。

  「中国科学院・日本研究所」

  日本の官庁に置き換えれば内閣府にあたるという、中国社会科学院・日本研究所を訪問した。国別の研究所は、日本と米国だけだということを初めて知った。所員は47人。副所長の孫新さんほか3人の所員が、それぞれ担当の分野を説明してくれた。

  ・中国は日本の高度成長期を越えた。中国の古い時代の勤勉さを参考に、目標を失うことなく発展させることを考えている。

  ・日本は勤勉性が落ちている。特に若者のフリーター470万人を、正しい誘導をして自信をつけさせることが日本の課題だと考える。

  ・反日デモなどの日本の報道は事実を伝えていない。デモが行われたのは一部の地域であり、北京の人も北京に在住する日本人も知らないということを、あたかも全土で行われているように伝えている。日本のメディアは大きく扱いすぎる。そして、正確でない。
 
  東シナ海石油の今後の行方。北朝鮮のテポドン。台湾関係。中米悪化した場合。魚つり島問題。環境問題。などなど、これからの日中両国の10年を教えていただいた。ずいぶん両国の間には、問題が山積していることを感じる。それも、早く解決を望まれていることばかりです。

  「親中派より知中派」

  中国理解講座の主催者である志ネツトワークの上甲晃代表は、知中派をめざせ、と説く。知中派、そんな言葉を教えてくれたのは、元警察幹部の鳴海国博さん。「これからの時代に生きる日本人は、中国を好きにならなくてもいい。しかし、中国の事情には十分精通している。そんな人にならなければだめだ」と教えてくれた。すなわち、親中派ではなく、知中派を勧めてくれたのである。

  鳴海さんの原体験は、今も鮮明に記憶している。「終戦の日。私は北京の小学校に通っていました。その朝、通学路には、いつものように、どの家にも、日本の旗が掲げられていました。やがて校長先生が、終戦の詔勅を告げ、速やかに家に帰るように促しました。その時、登校時には日章旗が掲げられていた家々に、アメリカの星条旗が掲げられていました。星条旗の下をくぐるようにして家路に急ぎながら、私は、中国の人たちのことを思いました。日本軍の監視の下で、あれだけ厳しく管理されていたにもかかわらず、中国の人たちは、家のどこかに、星条旗を隠し持っていたのです。それが中国人です」。



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