TOP   田舎都会通信  蕎麦酔夢「吉田村」  写真で語る   ブログ   リンク集

◎小さな船旅



  「船旅100日間・世界周遊の旅」などの広告が目につく。費用は高額だ。いらぬ心配だが、「引き合いはあるのだろうか」と頭の中を駆け巡る。函館埠頭に大きな客船が停泊していたのを、先日来続けて目にした。時は「船旅」全盛の世の中なのであろうか。

  新婚旅行の帰り道、敦賀からフェリーに愛車のプリンス・スカイラインを積み小樽まで船旅で帰った。昭和48年のことである。その思い出は、頭の中からは消え去っている。船の長旅は、その時以来縁遠くなっている。今回久しぶりに、「豪華客船に乗った気分?」に浸るため、室蘭・直江津間の往復乗船を体験した。

  私の母は、「船酔い」に弱かった。92歳の生涯で、一度だけ当時の国鉄が経営する青函連絡船に乗ったことがある。青森からの帰途は、運悪く海は大シケ。船酔いのため、船のトイレに駆け込み何回も吐いた。

今では笑い話だが、家に帰って大騒ぎが起こりました。入れ歯がなくなっていたんです。吐いた時いっしょに・・・・ 。そのことに気づかず帰宅。こういう母の血を引く私ですから、当然「船酔い」には弱い。唯一の心配をかかえての出発となった。

  直江津行きの室蘭出発は、夜中の11時55分。フェリー乗船場は、白鳥(はくちょう)大橋の近く。この恩恵で、初めてイルミネーションが点灯されている大橋を渡った。落ち着いた白色の輝きは、旅の先行きに楽しさと安心感を与えてくれる気持ちにさせる。

 乗船した船は「れいんぼー・らぶ」。大きさに驚きました。いつも利用している函館〜青森間就航船は、総トン5200〜7200トン程度。ところが「れいんぼー・らぶ」の総トンは11400トン。この大きな船を見ただけで、船酔いの心配は吹っ飛んでしまいました。

  普段利用している函館〜青森間の航路では、人だけ乗船という方も多く、通常大広間の自由席が一般的です。そのつもりで乗船しましたが、私にとっては想定外の豪華さです。一番安い2等でも、ピジネスホテルの個室並み。

そう言えば、ゆったり定員がゆとりスペースを物語っています。青函航路船は室直航路船の半分の大きさなのに、定員が青函航路船は520〜800人、室直航路船は150人、この差が快適な空間を提供している。

  料金は、往復利用者に大出血の安い価格設定がされている。その他、一流ホテルの一泊付き(朝・夕食付き)などの特典もある。さらに、7月20日〜8月31日の繁忙期をはずすと、さらに割引が用意されている。

  今回は天候にも恵まれ、船が揺れず船酔いなしの往復を過ごせた。パソコンの電源は使えるし、海を眺望できる大きな浴室はサウナ付き、など不自由なことは何ひとつない設備は時間を忘れさせる。片道僅か17時間の乗船は、「船旅」と言えるほどではないのかも知れないが、私にとっては快適な長い船旅となった。


目次へ

TOP   田舎都会通信  蕎麦酔夢「吉田村」  写真で語る   ブログ   リンク集