「函館朝市」
函館市駅前に「函館朝市」がある。以前就航していた青函連絡船の桟橋前にあり、戦後の物不足時代から函館近郊の食生活に貢献してきた。ここには、近郊で収穫された鮮度の良い農作物や海産物が並べられ、朝市というより「大きな市場」というイメージが強い。
朝市は、わが家も縁がある。わが家の僅かな畑で作った野菜を、朝市に出荷していた時代があったからです。母は、ニラ・イチゴづくりが得意であった。ニラは、値段の良い鶏糞肥料を入れると孝行ものに育つ。品物を野菜集荷業者が朝市に運び、それを常連の売り子(当時通称 すずめ)にお願いして販売する形式。売り子の腕次第で品物が高く売れるという楽しみもあった。朝市に出荷しての収入は、私の学資や生活費などに消えたのでしょう。
朝市の売り子さんの威勢のいい掛け声は、お客さんに買わせる雰囲気をつくだし、その上元気を与えてくれます。このな朝市が大好きです。全国には、規模の大小はあるが、有名な朝市が沢山あります。私も現場確認?の遊び心で訪ねてみました。
「輪島の朝市」
函館朝市は、午前4時ごろから活動開始しますが、輪島はのんびりムードです。8時頃から12時までの午前中開店。通称「朝市通り」と呼ばれる360メートルを歩いてみた。一般の商店の軒先を露店が活用して並ぶスタイルの朝市です。
昔、物々交換を行ったことが市の始まりだという。市の歴史が1千年以上ということには驚く。寒村の時代、農家が旬の野菜・穀物・果物・山菜を、漁家は新鮮な魚や海産物を持ち込み生活を維持したのでしょう。木樽に魚を糠漬けにしたものが販売されていた。昔・魚の沢山獲れた時代は、大野の人たちも樽に漬けていた。
輪島名物という「むしアワビ」も沢山並べられていた。アワビの大きさ、「巨大」という言葉がピッタリ。よくこんな大きなものが獲れるものです。日本海の荒波のなせることなのでしょうか。値段を見ると、目の玉が抜け出る高値です。1個・6000円前後。朝市の楽しいことは、値札はついているが値段は交渉次第というのが定番。とは言え、庶民の味とは縁遠いなあ。
輪島の朝市通りは立派に道路整備がされ、そこに朝市の露天が並んでいることは、私の想像した朝市とは違いました。一般市民の往来が少ないことも以外でした。朝市通りを含め新しい感覚で町並み整備がされ、うらやましい限りの街づくりがされています。観光資源としての価値を高めたのでしょう。
私の頭の中の朝市というイメージは、食糧難の時代に助け合って生活した互助精神があります。観光客がバスで大勢やって来て繁昌することは否定するものではありませんが、千年の長きにわたり続いている庶民感覚の朝市をもっと前面に出してほしいなあ。
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