秋になると冬の準備をする。雪の降る北海道に住めば、暖房の心配は避けて通れない。今年は灯油の値段が高く、家計のやりくりに狂いを生じ、頭を痛めている主婦も多いのでは。わが家は薪の支度も終わり、安心して冬を迎えることができそうです。
わが家の暖房は、昔から薪が主流。理由は簡単、父が薪炭業だったからです。ストーブで焚く薪の支度は、秋の定番仕事だった。小さい時から手伝ったのは薪運び。小さく割った薪を乾燥させるための小屋に運び、そして積む作業は子供にもできた。
薪を販売する店だから、さぞかし火持ちのいい薪を用意する、と思われ勝ちだが、内情は違う。商品として売れない、火持ちの悪いホウの木やシナの木などの三流品ばかりだった。それに根っこ木、これも割りずらく商品価値が低く、わが家のストーブ用だった。
炉ぶちの中にはだるま型の薪ストーブが置かれ、それには湯沸しが接続されていた。湯沸しは銅板で作られ、時々みがき粉でなぞればピカピカに光った。また、日本酒の銚子2本分の燗ができるようにも作られていた。
湯沸しの後ろの縁の下に、薪を2日分くらい格納する場所があった。薪小屋からここに運搬する役目は、子供の手伝い仕事だった。この湯沸しのお陰があって、わが家ではガスなどの湯沸かし器は必要品ではなかった。
ストーブの薪を入れる役は父の仕事。炉ぶちのストーブ口の前の席は、家主の指定席。薪を入れる権限を持っていた。ストーブの回りは顔がほてるような暖かさだった。しかし、お客が来た時などストーブから少し遠ざかると、すき間風が入り寒かった。
薪ストーブでやっかいなのは煙筒掃除です。この掃除は女性と子供の役目だった。三流品の木は、ススが多くでる。このためちょっと油断すると煙筒がつまる。つまった時やっかいなのはヤニ状の木酢、煙筒の鉄板を腐らせる強力なもの。これが煙筒のつなぎを固めてしまい、掃除の時は大苦戦した。
薪は健康効果がある。薪は乾燥させても結構な水分を含んでいるためです。この水分が、締め切った部屋を適度な湿度にするため、喉にやさしさを与える。このため風邪をひく確率が低くなる。また外の寒さで凍えた時、ストーブに手をかざして温める気持ちのよさは、言葉で表せない。
木材の価格は安いが、薪としての値段は高い。もう少し安価になればファンも増えるのでしょうが。もう一つ心配なことは、小さな子どもがストーブでヤケドをすることです。管理に気遣いが必要です。私も長男の指にヤケドをさせた苦い経験があります。
わが家を昭和58年に新築した時、薪ストーブからペチカにした。居間と台所24畳を暖める。薪が燃料。薪は割ったり乾燥させたりと手間がかかり、その上格納場所が要る。しかし、体のことを考えると、ベターな燃料は「薪」というのが、私の結論です。
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