「田舎のしきたり」
田舎生活には、「しきたり」が生活の中にある。このしきたりが重荷になる場合もある。病気をした場合の見舞金もそうである。普段付き合いが薄くても、親せきであったり、ご近所であったり、知人であったり、というようにお見舞いする範囲が都会とは違って多い。
葬儀もそうである。供花、供物、香典、の三点セツトの付き合いも少なくない。親せきなどの不幸が続くと、「交際費の非常事態宣言」で悩む家庭もある。しきたりとしては、町内会やご近所による手伝いの結いがある。
「しきたりに挑戦(生活改善)」
しきたりに挑戦する姿勢は、常に行われている。お見舞いや葬儀のルールを定めた町内会もあった。「金額は○○円以内」 「お見舞い返しは、○○円以内」 「告別式のお膳廃止」 「お膳の金額」 ・・・・・ 。町内会の動きに歩調を合わせ、「お返しを廃止し、その金額を社会福祉などに寄付する」 「お返し廃止連絡書の配布」など、こまやかな配りょがされている。
しかし、実行となれば「苦悶」する家もある。「お見舞い金、以前1万円もらったのにルールの2千円では・・・・悩む」、香典も供花も供物も同様で悩む。全体を統一することは、難しい状況に置かれている。
生活改善効果をあげているのは、葬儀の礼状を郵便ではなく当日にお持ち帰りの状態で渡す、などごく僅かです。
「変化が起こりつつある」
葬儀は信仰する寺院が定番でしたが、民間が経営する葬儀場が多くなりました。ここには、葬儀の受付から食事までの全てを任せられる。今までは、町内会やご近所の手伝いで執り行った。しかし、手伝い人に対する食事の用意やお礼を、わずらわしいと思う家庭が増えつつあります
底辺には、高齢者が多くなり、手伝い人は70代という高齢化もあります。また、執り行う若い人も、借りをつくりたくないという人もいるのでしょう。
高齢時代を迎え、「しきたり」にもさまざまな変化がみえ始めました。また、高齢者と話すと、変化させなければならないことも感じます。「しきたり」を変える、ということは地域においては難しいことではありますが、時代は変化を求めていると感じます。
先日・北海道新聞「私の発言」欄に、学習塾経営の安部松吉さんの「80歳からは行動を簡素に」という投稿が載った。考えさせられる身近な問題なので、あなたも高齢を迎えたときの参考にしてはいかがでしょう。
「80歳からは行動を簡素に」 安部松吉 さん・美幌町在住
私は現在87歳です。年をとると、頭で分かっていても体がついていきません。半面、体は元気でも頭の方が駄目になることもあります。
しまいには、身の回りのことさえ人手を煩わすことになります。長いお付き合いに感謝しつつも、ついには、それが重荷になってしまいます。そんな現実から、心ならずとも次の三点を実行してみるのはどうか、と考えてみました。
第一は年賀状は大儀になったら、減らすかやめにします。来るから出すといったものまで含めて、大量に書くとなると大仕事です。来年の賀状に今までのお礼を記して、翌年からの失礼を伝えればいいのです。
第二は、お中元、お歳暮の廃止です。物にかかわることなので少々勇気がいりますが、さつあたり親せきや旧知から始めたらどうでしょう。これにより、買出しや発送にかかわる手続きから解放されます。
第三は、友人たちへのお見舞いの見直しです。老化と病気は人間の宿命です。入院時のお見舞いも二度、三度となると、お互いに考えさせられます。老人相互のお見舞いは1回限りにしても失礼にはならないのではないでしょうか。
これらの実行のタイミングは、男女の平均寿命に近い80歳あたりが適当かと思います。人間の機微に触れる問題なので、実行するには先方の了解を得ることが大切です。たとえば、このような申し合わせを、老人の集いなどの際のテーマにしてはどうでしょう。
昨今は、税金、年金、医療、介護に対する老人の負担が一層厳しくなりました。そんな折、経済的にも、このような老人の行動の「簡素化」は許されていいことではないでしょうか。
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