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◎ 高齢時代・「楽しくリハビリ」考えよう


 

  「病気の後遺症」

  脳の血管障害死亡率を統計でみると、1980年頃は第一位だった。医学が進歩し、今では悪性新生物、心疾患についで第三位までに後退したという。しかし死亡は減ったが、脳梗塞や脳溢血などの後遺症の障害で悩んでいる人も多くなった。

  病院を退院した後のリハビリは、大変だと聞きます。病院では、医師や看護師、療養士さんなどの専門家による指導があり、患者自体も一生懸命回復に努力するという。それでも、全部が元通りに回復しての退院とはならない。


  
「家庭でのリハビリ」

  障害が残っての退院は、家族の介護とリハビリを続けなければなりません。病院だったら医者や看護師、療養士さんの言うことを聞くが、家庭に戻るとわがままに戻るという。

  大きな病院で、高齢者の歩行訓練リハビリを目にしたことがあります。「痛い・痛いと悲鳴を上げ、止めてくれ・止めてくれ」という大きな声。「苦痛をといてあげたらいいのか」、それとも「聞く耳もたずで続けることがいいのか」、私自身迷ってしまう思いがしたことがあります。

  設備の整っていない自宅でのリハビリとなれば、感情も左右し、苦労している高齢者や家族が多いのでしょう。リハビリは、受ける本人もつらいことだが、世話をする家族にとっても苦痛なことです。


  
「団体旅行」

  中国への団体旅行に参加した。日数は5日間。慣れない外国は、気温や食べ物・体調など全てに不安を背負っての旅行となった。団体ともなれば、自分だけゆっくり・のんびりの行動は当然できない。

  従って参加者は、当然健常者と決めつけてしまう。ところが、参加者の中に、足がちょっと不自由そうに見えた方がいた。いっしょのテーブルで食事をすると、出されたお箸でなく持参したスブーンを使用する。会話も少し不自由に思えた。

  同行した奥さまのお話しでは、定年退職数年後に脳血管障害を患った。しかし、後遺症の「障害」が残ったいう。

  
  
「楽しいリハビリ」

  障害が生じてから5年ほど経つという。リハビリを頑張って続けている効果で、旅行に参加できるまでになったという。

  お医者さんに団体旅行参加を相談したら、リハビリに効果があるということでOKが出たという。「家の中ばかりに閉じこもってはいけない」「団体旅行は、いやおうなしに同一行動をとらなければならない」「わがままも通らない」など、いいことずくめだという。

  奥さんのアイデアだという。同行した奥さんも、「家の中ばかりの介護は疲れる」「外国の風景やショッピング、そして伝統料理も楽しめるなんて夢みたい」などなど、いいことずくめのようでした。

  リハビリ旅行となったご主人も、楽しそうに5日間をすごした。それにも増して、できるだけ他人の手を借りず行動した姿には敬服した。いっしょに来た人に「迷惑をかけてはならない」という気丈さがそうさせたのでしょう。


  
「リハビリ旅行から教えられたこと」

  最初の二日間、障害者と気付かなかった。しかし、そうとわかったら、バスの二人の座席を入り口近くにさせたり、見学の時間にゆとりを持たせる配慮などを、だれともなしに皆が気配りをした。「人間同士が助け合う」ということは当たり前のことですが、こういう形で実現できたことはうれしい。

  リハビリを兼ねての団体旅行参加は、とても勇気の要ることを感じた。そして、何よりも障害者自身の、「ガンバルぞ、ガンバッテいるぞ」という姿勢がビンビン伝わってきた。いい勉強を教えていただいた。私自身、これを糧としていかなければ、との思いを強くした。


  
「人の尊厳を保つ自立」

  「介護が楽になる・魔法の言葉」の著者で知られる、横浜高齢社会をよくする虹の仲間・副代表 三井君子(ペンネーム 野原すみれ)さんは、「たとえ体が不自由であっても、ご自分でできないことは若い人たちの助けを借りて毅然として生きることが自立であり、人としての尊厳を保つことです」。と教える。

  今回のリハビリ旅行の実践は、ひとつの「自立」の方法を私に教えてくれた。


  
「実行に挑戦の意欲を持とう」

  これからは、こういう旅行参加が増えるかも知れない。国内だったら「家族同行」で至れり尽くせりはあるでしょう。外国に介助する奥さまと二人で、というところに魅力を感じる。二人は、「新婚旅行」を思い出したのかもしれないし、ご主人は介助の奥さまへの「感謝旅行」だったのかも知れない。

  このご夫婦からは、二人で外国旅行をする自信がつきました、というたのもしい言葉をいただいた。もう、次の旅行地を頭に描いているような、そんな明るさを見出した充実感にも聞こえた。あなたも自信を持って、「お医者さんのアドバイス」「家族への相談」をクリアーして、そういう状況になった時は「実行に挑戦」しましょうよ。


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