「疲れを呼び込む不慣れ」
東京に数日間旅行すると、足が疲れませんか。羽田空港から始まる東京歩き、一ケ所たりとも土に足を接することがない。コンクリート、アスファルト タイル 御影石 等々 ・・・・ これが原因だと私は思っています。
こういう疲れは、旅行して体に拒否され、初めてわかる。土を踏む習慣の田舎生活が長くなると、体もその風土に順応してしまうんですね。これは理屈ではなく、体の本能がそうさせるのでしょう。
「入院生活 本人は好まず」
病気や怪我で入院した人をお見舞いに伺うと、老若男女問わず「早く自宅に戻りたい」と言います。いくら施設が整っていても、住み慣れた家のようなやすらぎがないのでしょう。
高齢入院者の場合、「医者が、いつでも退院していいと言ってる」のだが、と教えてくれることもあります。しかし、家族から聞くと、話が180度違うことが多いのが実情です。
父が70代の頃5ケ月入院したことがあります。胃潰瘍を治すため、手術をすれば早く退院できるが、薬だけで治すとなれば長期間の入院が必要という医師の話。私は、父が望む手術をしないで治す方法をお願いした。
長引く退院に父は、医者に「家で自分で治す」と言って退院をせまり、周囲を困らせた。結果は、医師の指示通りゆっくり療養完治させたために、「胃潰瘍は1年以内に再発して病院に戻る」という当時の懸念を払拭、再発することはなかった。
父の言うこともわからないではない。自分の家ならば、生活方法が身についていて療養し易い。家族への負担もかからないなど、利点もいっぱいあります。
「入院は看護者も巻き込む」
父は亡くなる前2ケ月の入院を余儀なくされた。自宅では治療不可能が理由。入院している間に目にしたのは、同じ病棟の高齢者の付き添いをしていた妻も看護疲れで入院、これが2家族ありました。今は完全看護の時代なのでこういう事例は少ないのでしょうが、看護する人も体力が相当必要なことを物語っています。
「入所か自宅かの選択は元気なうちに決める」
介護保険制度が発進し、今まで病院で措置されたことが、これからは施設か自宅かの選択方式になります。施設を希望したとしても、施設に空きがなければ自宅待機が余儀なくされるというのが現状です。
介護保険制度は申請制度です。介護を受ける人の希望を取り入れることになっています。その時になってあわてて施設か自宅かを決めるのではなく、元気なうちに制度のノウハウを勉強し、自分の選択をしっかりしておくことが大切だと思います。
「想定外の対策も勉強しておく」
子供がしっかりしているのでそんな心配なし、という方も多いことでしょう。しかし現実は、所得や地理的関係、お嫁さんとの問題などの理由により、自宅介護が無理という方もいるでしょう。
子供たちにも、自分たちが介護制度を活用する場合を想定し、有利な活用を学ばせておくことも必要です。
高齢の旦那さんを奥さんが介護する。残された奥さんが独居介護生活になった時、その介護を誰がするのかが悩みの時代になります。
また、こういうケースで寝たきりになった場合、自宅で介護生活を送れるのだろうかという不安も考えられます。
元気、元気なうちに、介護保険制度の勉強をしておくことは、自らが介護生活者になった時に役立ちます。
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