私の選挙公約に、消防士の採用は救急救命士。さらに女性採用を。消防士は男性という観念があり、少々疑問の声もあったが、平成12年5月1日・女性救急救命士を採用した。消防暑は男の職場というイメージを痛感したのは、トイレの女性用がなかったことです。年間400件を超える搬送、その半分以上が女性。お医者さんの世界でも、同性の女医さんに診てもらうことを望む患者が増加しているという。社会のニーズが変化していることを実感します、女性は日勤だろうなあと思っていましたが、自ら・宿泊当直を申出、実行していることはうれしい誤算です。また、上磯消防署でも女性救急救命士を採用し心強くなりました。女性消防士採用・道内町村では初任用。広がりを期待したい。大野町消防士・救急救命士の小林香織さんが、2月12日に行われた、渡島・檜山消防職員意見発表会で、最優秀賞に選ばれました。ご紹介します。
小林香織 さん 南渡島消防事務組合・大野消防署 消防士 新潟県出身
「女性消防士の将来を考えて・・・・・・・・・」
憧れの消防士になり、早3年の月日が流れようとしています。私は「消防士として」「救急救命士として」そして「女性として」職務に当たってきました。その経験を踏まえながら、女性消防士がこの先どのような心構えで職務に当たっていけば良いのか、そしてどうすれば「消防」という組織が・私たち消防士を今以上に活かせる職場になるかを考えてみました。
今、世の中は男女雇用機会均等法や男女参画等と言われていますが、消防職務に関してはそのような考え方が通る職場ではなく、女性にとっては大変厳しいものです。その中でも、女性であれば誰もが感じたことがあると思う、男女の体力差には大変悩みました。そのことを痛感したのは、ある消防訓練でのことです。私は放水員として一生懸命訓練に挑みましたが、訓練終了後ある先輩職員に、「大変だっただろ?・やっぱり女には無理だな。あれでおまえは走っているつもりだったのか?」 と言われ愕然としました。
その後も何度となく女としての壁にぶち当たり、いつしか「私は消防に向いていないのかな? 辞めた方がいいのかな?」 とまで思うようになったのです。ちょうどその頃結婚が決っており 、主人に相談したところ、「自分で考えて決めた事なら辞めるのもひとつの方法じゃないの?」といわれ、私の気持ちはどんどん辞める方向へと傾いていきました。しかし、そんな私を変える事となる・出来事があったのです。
ある日、中学生の女の子を救急車で搬送しました。その子は私がよく利用するクリーニング店の娘さんで、車内にて処置をした後、「だいぶ楽になったかな?」 という私の問いかけにも 「うん。さっきよりもだいぶ楽になりました。女の人も救急車に乗っているんですね」。と答えてくれるまでになりました。次の日、私はいつも通りに洗濯物を出しに行くと、昨日搬送した子のお母さんが・私に言いました。「昨日は大変お世話になりました。うちの子あれからね、゜私も将来・小林さんみたいな救急救命士になりたいなぁ」 と。私はその言葉を聞いて、女性を必要としている人もいるんだ・ということに気づかされました。
この事を先輩職員に話したところ、先輩はおもむろに話し出し 「そうか、そんな事があったのか。患者に安心感を与えられるのは、やっぱり女の人だからなんだろうなぁ・・・・・・。男の場合・体力とか技術では勝てても、そこに居るだけで安心させる事なんてチョットできないことだよなぁ。頑張れ小林・お前を必要としている人は沢山いるんだ。訓練はこれからも厳しくいくけれど、それは現場でお前が自分の身を守れるようにと思ってやっていることだ。それは解ってくれよな」。先輩の話を聞き終わると、今まで・女だということに引け目を感じ、クヨクヨしていた自分が何だか情なく思えてきました。そして、「私を必要としてくれる人がいるんだから頑張らなくっちゃ」 という前向きな考え方が出来るようになったのです。そのお陰で、今もこうやって・小さい頃から夢だった大好きな消防の仕事を続けています。
これから消防士になりたい、と思っている女性の方は沢山いると思います。今も女性が活躍できる場は少ないかというと、それは除々に変わりつつあります。現在では、女性に与えられる業務も・デスクワークだでなく、実働隊員として活躍できるようになってきています。現に、私は救急隊・消防隊として現場に出動したり、昨年秋には大型免許を取得し、将来的にはポンプ車の機関員になれればと思い、日々訓練を行っております。
女性消防士として、男性と共に職務に当たること、その道のりは必ずしも平坦なものではないでしょう。しかし、どんなに辛くても諦めてはいけないんです。私たちの進んでいく道の先には、自分を活かせる場所が必ずあるのですから。
最後に、「消防」 という組織が・女性消防士を受け入れる際に必要な事。まずは、・・・・施設の整備? そんなの後回しでいいんです。セクハラの問題? そんなのは・あっても当然と心構えしているでしょう。そんなのは問題に入らないんです。それよりも・もっと大切な事・・・・・・それは仕事を共にする一人一人が 「女なんて消防には必要ない」 という観念を改める事です。
消防は圧倒的に男性が多い職場です。ここ数年・道内でも女性消防士が増え、戸惑いを隠せない男性職員も少なくないと思います。しかし、今後より多くの女性消防士が働いていく上で、男女の枠を越え、互いに足りないところは補い合い、切磋琢磨していくことができれば、よりよい消防となっていくと思います。
これから女性の採用を考えている消防や、既に女性がいる消防でも、女性に関しての知識を十分に持ち、理解し、様々な面で前向きに取り組んでいけば、おのずと女性を生かせる職場になっていけるでしょう。
私たちと、もっと向き合って見てください
女性だって、色々な可能性を秘めているのですから・・・・・・・・
|