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◎「噂話」次々と枝葉がついて大木に 「2003・10・24」



  「親の夢 次々消して 子は育つ」 という川柳がある。「噂話」 もこの川柳と重なる感じがする。聞いたひとが、次々と自分の考え判断を勝手に付け加え、枝葉がついて伝わってしまうことが。

  「噂話」ではないが、私も笑ってしまった経験がある。私の父が晩年・夜中に腹痛を。函館市内に在る夜間救急病院へ連れて行った。幸いたいしたことなく帰宅。どこから情報を得たのか・翌朝知人からお見舞いの電話が。「救急車で病院へ運ばれたというが・・・・・・」、救急病院が救急車になって伝わったんでしょう。

夕方・別の知人から電話が。「病院に入院したというが、どこの病院・・・・・」という内容。誰がどう伝えたのかは知るすべもありませんが、誰かが枝葉をつけたのでしょう。

こういうたぐいの話はいっぱいありますよね。「気を付けなければ」「反省しなければ」ということは、私自身にも言えることです。反省。

  藤本恭子さんが自費発行・無料配布している 「おしゃべり通信」 9月号 言葉の魔法「伝言ゲーム」は、当を得た教訓を私たちに伝言しているので、ご紹介します。


     タイトル  「 伝言ゲーム 」  藤本恭子 さん  (有)オフィスK 代表取締役

  昔からある遊びに「伝言ゲーム」がある。ある言葉、ある文章をそのまま次々伝えていくものだが、最初の人から最後の人までまったくと言っていい程同じ言葉で伝わることはない。それどころか、右だったものが左になったり、×が○になったりと人間の記憶がいかに頼りないかを思い知らされる。まあ、それも「遊び」であるから笑えもし、許されもするのだが。

  しかし、現実にその「伝言」が全く伝わらなかったり、或いは、間違った伝わり方をしたらどうなるかと言えば、時として、取り返しのつかない「トラブル」につながることもある。かく云う私も、飲料メーカーの「佐藤社長」からの伝言をこともあろうに、ライバル会社の「佐々木社長」からと伝言され、大恥をかいたことがある。

伝言をした者が、社長名を間違えて伝えたことによって、私はメーカー名を間違えたものと判断し、そのうち、伝言したものもどっちのメーカーなのか記憶が曖昧になってしまったのである。思い込みというのは実に怖いものである。

  今、東京大学名誉教授の養老孟司氏の著書「バカの壁」(新潮新書)が売れているという。売れているのは、日頃から、誰もが漠然と感じていること、疑問に思っていることの何らかの答えのヒントがそこにあると感じるからなのかもしれない。

氏は「話せばわかる」なんて大ウソ・互いに話が通じないのは、そこに「バカの壁」が立ちはだかっているからである。という。これは、与えられた情報に対する姿勢の問題で、知りたい情報に対しては自主的に情報を遮断し、「バカの壁」を作っているというのだ。

確かに、知りたくないことに耳をかさない人間に話は通じない。誰もが皆、自分の知っている情報が一番正しいと思っていて、外の情報に対しては、聞く耳を持たない。一つの出来事に対しても、ひと皆それぞれの「ものの見方」「捉え方」があり、ましてや自分自身の損得にかかわれば尚更のこと顕著に現れる。

  「噂話」は広まるのが早い。しかも次々と自分の解釈をプラスしながら「伝言ゲーム」のように広がっていき、自分にとって都合の良い情報を完全なものに構築していく。つまるところ人間の資質の問題だといってしまえばそれまでだが、どこかで誤解を正さなければならない時だってある。


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