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◎「百年の森づくり応援団」 自然のダムをつくろう



  「百年の森づくり」。子孫のために・きじひき高原に広葉樹を植える。親子で・仲間で・夫婦で・友達同士で・・・・・・・・汗を流す。思いは同じ。

広葉樹は、土の中に深く広く根を張り・災害防止に。いくら防砂ダムを造ってもダメ、やはり土砂流出の元を絶たなければ。ブナの木の大木一本から落ち葉は、20万とも40万枚とも言われています。木の葉を虫が食べ・ふんをして腐葉土を作ります。雨が降ると一部の虫が流され、大野川へ・そして函館湾へと流されます。

この虫はプランクトンの餌となり、プランクトンは魚の餌となり、そして成長した魚はみなさんの食卓へと帰ってきます。人間生活で欠かせない 「たんぱく質」 を供給してくれます。これを表して 「循環型環境整備」。

  この思いに共感してくれる人が多いことに驚きます。植樹祭には、約千人の参加協力。植樹祭の苗木は、ほとんどが渡島種苗協議会や個人の寄贈。昨年はブナの種を自らの手で拾い、再来年の植樹用苗木とするため・各家庭で育てられています。今年は、80人のボランティアが参加して、ブナの3〜5年生の苗木を掘り・来春植樹祭用としてゲット、その数・千本を超えました。また、紅葉するもみじの苗木300本を掘り起こし、紅葉の山づくりのために植えてくれました。ボランティアの人の積極的な協力活動には、頭が下がります。

  また、きじひき高原・鉄山地区は、春 「山桜」のピンク 「こぶし」の真っ白 「ブナ」の新緑が絶妙の色彩で楽しませてくれます。そして、湿地帯には 「ミズバショウ」が咲きます。秋 「とちの木」 や 「ならの木」 のどんぐり拾い、そして紅葉が・・・・・・。函館山と大野平野を眼下にする眺望も最高。

本郷に住む・国有林監視員 三国実 さんが、約2キロの散策道をボランティアでつけてくれました。約1時間の手ごろなコースは、みなさんを楽しませてくれるはずです。来春・植樹祭のときがお披露目日となりそう。この道の管理も、応援団がしてくれる予定になっています。また、来年は、同地帯に残る ブナ林 内に散策道の計画もあり、どんどん楽しみは広がります。

  多くの人の協力で、子孫にプレゼントがつくられていきます。一本木在住の元共同通信社・函館支局長 勝碕捷ニ さんが、札幌タイムス コラムで、参加した模様を記してくれましたので紹介いたします。


  タイトル 「ブナ林のボランティア」 勝碕捷ニ さん 札幌タイムス2003・10・21号「亜寒帯」から


  大野町の森林ボランティア募集に応じて、きじひき高原のブナを見に行った。自然のままに育った雅樹を移植しようという企画で、この日は雅樹の確認が目的だ。雨模様の空の下、17人が参加した。みんな高齢者だ。

  高原は標高400メートル。ブナのほか、ヤマザクラ、モミジもあり、紅葉の真っ盛りだ。舗装道から、草木をなぎ倒した程度の散策路に入ると、眼下に黄色く染まったブナが峰から峰へと続く。「ブナの峰走り」だ。

  大きなブナの直径は1メートル、高さも20メートルはある。樹齢250年以上という。見上げると葉の間から太陽の光がこぼれていた。地面は落ちた葉が幾層にも重なり、じゅうたんのようにフワフワしている。

  木の下に高さ30センチ前後の雅樹が何十本も生えていた。母樹から落ちた種が育ったのだが、放置すると母樹の陰になって枯れる。別の場に仮植し、来春の植樹祭に定植する。

去年の秋、町の子供たちが、ブナの種を持ち帰って自宅で育てており、再来年の植樹祭で定植する予定だ。こういった積み重ねで、きじひき高原がより豊かなブナの森に成長していく。ブナ林を回った後、散策路をボランティアの手でもっと歩きやすくできないかが話題となった。

  今、何故、ブナなのか。参加した吉田幸二町長は次のように説明した。「ブナ林は保水力が豊で自然のダムだ。葉は土壌動物や菌糸に分解されて滋養となる。川に流れ込んで魚の餌になり、さらに下って海を豊にする。貴重なタンパク源となって、私たちのところに戻ってくる。

  雅樹を移植する祖父母、父母。種を育てる子、孫たち。接点の散策路も自分たちの手で作る。何年、何十年も後に、この町の人たちは、自分たちのボランティア活動が創りだした自然と一体化した心豊な生活を送っているに違いない。

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