大野町の農家は、トマト生産のためのハウス施設を約800棟所有しています。安全で安心なトマトを供給するために、生産栽培技術に汗をながしています。しかし、この生産にブレーキがかかりそうな心配事が起きています。
特定外来生物被害防止法案
国会で 「外来生物の規制法案」 が審議に。大野町の農家も、この法案審議を注意深く見守っています。というのは、トマトの授粉用に
「セイヨウオオマルハナバチ」 というヨーロッパ原産のハチを利用しているからです。
国会の審議では、外来生物が野生化して、人間に害を与えたり・生態系を壊さないかを議論するものと思います。そして、対策の方針を決めることになります。
マルハナバチとは
マルハナバチはミツバチの仲間で、幼虫のエサとして、花粉と花蜜を集めるという。舌が長く、花蜜が奥に隠された花からも簡単に密を吸うことができるという。
マルハナバチは、古くからオランダやベルギーでトマトハウス栽培で、花粉媒介に利用されてきました。日本には、1991年に導入され、トマト農家のなくてはならない働き手となっています。
何が問題なのか
ハウス施設から逃げ出して野生化・定着化し、日本の在来マルハナバチや植物に影響を与える可能性があるからだという。すでに野生化の実態は確認されているという。
考えられる対策
マルハナバチの命は1年だという。ハウス施設の中で花粉が不足すると、正常に活動できず消滅します。従って、逃防用ネットを張ることが効果的だと言われています。
なぜマルハナバチなのか
マルハナバチは昆虫なので、ハウス内の農薬を制限しなければなりません。このため、必然的に減農薬対応となり、消費者に対するクリーンイメージ効果があります。
ハチを使わない場合の交配作業は、時間と労力がかかりすぎ、コストが高くなります。
マルハナバチによる交配は、実がゆっくり肥大するため、果汁がしっかりつまり美味しくなるとも言われ、品質向上効果があります。
大野町の農家と行政の対応
トマトを作っている農家の集団は 「大野町野菜振興会」 (島谷国昭・会長)の下部組織です。会員は約80人、約800棟のハウスで20ヘクタールの作付けをしています。
部会では、今後2年間でマルハナバチ用ネットの設置を検討しています。かかる費用は、約9百万円。ご承知のように、近年は野菜の農家販売価格が安価、そのうえ水稲も不作、農業所得の減少からしてこの負担は大きく農家個々の双肩にのしかかっています。
私としては、国会でマルハナバチが仮に規制対象から除外されセーフとなったとしても、野生化している現実を考えるとき、議会と協議して対策を検討しなければならない時がきたことを感じます。
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