家を新築し改築する時は、少し前までは地域の大工さんが汗を流していました。
近年は、ハウスメーカーが増え地域の大工さんも苦戦のようですね。地域の大工さんにたのめば「コマーシャル代の投資がない分安い」あるいは「少しの変更は気軽にしてくれる」など助かる利点が多かったように思えます。しかし、最近はハウスメーカーの建築が目立ちますね。地域の大工さんにそのしわよせが大きくのしかかり、生活に不安を感じさせているのでは、と余計な心配をしてしまいます。
志ネットトワークの上甲晃さんの平成13年8月1日号デイリーメッセージに共感の持てる記事が載りましたので紹介いたします。
これを読んで、苦戦をしいられている大工さんが、利点を積極的にアピールし商売繁盛となればと思います
「業界の常識を破れるか」 志ネットワーク 代表 上甲 晃さん
「いや、小さな建物をつくるときは、大きな建物をつくるときよりも、と゜うしても割高になってしまうのですよね。」甲州建設の志村社長は、おもむろに口を開いた。わか゜家の増築計画の見積もりを提示する時の話。
ふたつの見積もり表が机の上に置かれた。私は、見積もりの金額をちらりと見た。私の予定している金額とははるかにかけはなれている。
志村社長は、大きな建物を建てるときと同じように手間がかかるため、かえって経費が割高になる事情を改めて説明してくれる。
前に本体を建てた職人たちが、条件は厳しくても、もう一度仕事をしたいと言っていると、志村社長はつぶやく。その言葉が、私の心には余計に重くのしかかる。こういう場合の犠牲的好意が、一番つらい。志村社長は、「正直なところのご予算を言ってください。何とかしますから」と、ついに最後の言葉を口にしてしまった私は、みんなが損をするような仕事を発注したくないと思った。
作業する人たちは、「儲からん仕事か」と思うと、日々仕事をしていても身が入らないないだろう。私もまた、みんなに犠牲を強いていると思うと、「ごめん」、「すみません」と謝り続けなければならない。そんな気持ちを寄せ合って、良い仕事ができるはずがない。どうしたらよいものか、深く考えさせられた。
改革とは何か。ふとひらめくところがあった。志村さんの会社が、長年にわたって進めてきた取引習慣、取引ルート、見積もりの仕方をすべて認めてかかるから、どうにもならない行き詰まりに陥るのだ。「志村さん、これは改革の試金石ですよ。今までの取引の習慣やルートを抜本的に見直し、小さな仕事でも割高にならない、
画期的な新しい方法を実現する最高のチャンスではないでしょうか」、私は勢い込んで、志村さんに提案した。「小さな建物を建てるのは、かえって割高です」というのは、今までの業界の常識である。その常識にとどまっているかぎりは進歩はない。常識を疑い、常識を覆す、それが改革ではないか。勢い込む私に、志村さんはいささかたじろぎながらも、「考えてみましょう。面白くなってきましたな」と言ってくれた。次につながる
進歩がないと、みんなが損をするような仕事ばかりをしていることになる。そんな仕事の仕方は、もうやめようではないか。「甲州建設は、小さな仕事でも割高にならない」、そんな評判が立つ日が、楽しみだ。
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