新聞紙上では、聖域なきカット・普通交付税も10%削減、という活字がひんぱんに目に飛び込んできます。市町村の生活ひいては存続に関わる大事な問題です。いっしょに考えてみましょう。
町の生活費は、国が交付する普通交付税に支えられています。ということは、国にコントロールされていることにもつながっています。この交付税削減は、全国各地の市町村に不安を与えています。というのも、景気維持のための公共事業を伸ばしたツケ、すなわち借金を沢山抱える現状にあるからです。市町村の借金の返済は、「据え置き」という制度があり、返済はすぐには始まりません。5年程度経ってからはじまるのが通常です。その返済が、大野町でも平成16年度からピークを迎え・大きな返済金支払いを余儀なくされています。景気が順調に右肩上がりであれば、借金の返済については何も心配はないのです。なぜかというと、普通交付税は国税の収入の一部を配分する仕組みになっているからです。ところが、景気は思うように回復せずということが、全てを狂わせています。
本論にもどり、大野町の生活費にいて考えてみたい。生活費は、国が町の人口や道路の延長距離などの計算式を示し算出されます。基本は、町が合理的「ムダをしないで」かつ妥当な水準における行政「全国どこでも同じような恩恵を受けられるような生活基盤」を行い、そして施設を維持するための必要経費をもって計算されていることです。このようにして計算された生活費から、町税などの収入の75%を引いた額が、町の生活費の不足分として普通交付税として町に交付されます。
この方式を、平成13年度の大野町に当てはめてみましょう。国で計算した生活費は30億1千万円。町税等の収入が12億5千万円、この75%が9億4千万円。従って20億7千万円を国からいただいて平成13年度の町の仕事が行われていることになります。
新聞で報じている聖域なき10%カットは、この生活費にも及びます。わかりやすくいうと、生活費の不足分20億7千万円の10%を削減しますということです。そして削減額は、町で経費を節減・削減して埋めなさいということです。
大野町では、平成13年度・5%相当の約1億円が減らされました。平成14年度・10%相当約2億2千万円、平成15年度・約2億2千万円が減らされます。ここまで減らされる額については、市町村も急に言われても大変でしょうということで、減少額を町に借金をさせ後年度において国が面倒を見ましょう、ということになっています。
問題は、平成16年度以降です。減少する2億2千万円は、町の生活費を切り詰めて対応しなければなりません。
更に、人口5万人以下の町村からは、平成14年度から平成16年度の3年間で、最高5千5百万円を削られるという。大野町に当てはめると、平成14年度・1千7百万円、平成15年度・3千4百万円、平成16年度・5千万円・平成17年度以降毎年5千万円の減少が想定されています。
大丈夫なの・と心配になると思います。一般家庭でもそうでしょう。収入が少なくなると、自動車の新車購入をのばしたり・大型車を軽自動車にしたり・一家一人一台の台数を減らしたり・と工面するでしょう。
大野町でも、議会や職員が知恵を出し合って対策を講じています。
その一例を紹介します。平成16年度から借金返済のピークがきます。この対応のために、平成15年度末までに借金返済のための「減債基金」積み立て6億円の目標を立てました。平成13年度・2億円積み増し・平成14年度・2億円予定。順調に預金ができ、このままでいくと目標年次の一年前・平成14年度末には6億円が達成できます。また、この2億円はもうひとつの意味を含んでいます。平成16年度から普通交付税が2億円余減らされても、この減債基金積立金を肩代わりさせることができることです。もうすでに、先手を打ったということです。
この実現には、「町民に対するサービスを低下させない」が基本です。職員の時間外手当の削減等さまざまな痛みを伴う協力を、各方面にお願いしました.
いずれにしても、平成16年度からは普通交付税10%カット・2億円余が減ります。自らの町で財源を見つけなさい、見つからないときは支出を減らしなさいということになります。
大野町においても、建設事業にあっては実施のスピードをゆるめたり、急がないものは先送りしたり取りやめたりしなければなりません。一方、通常経費ですが、節約については対応が終わっていて無理なので、削減を視野に考えなければなりません。
経済が回復すれば、税収が増えこういう心配は吹っ飛んでしまいます。それまでは、ガマン強く辛抱することが一番です。
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