TOP   田舎都会通信  蕎麦酔夢「吉田村」  写真で語る   ブログ   リンク集

◎自治大学校・校友だより 掲載文 「2002.9.20」



  平成11年、自治大学校に行かせていただきました。その自治大学校・校友会が発行する「校友
だより」8月号に、登載された掲載文です。(第二部・86期  吉田 幸二)



           タイトル 「百年の森」 孫・ひ孫さんへ夢のバトンタッチ


  平成11年5月1日は、初登庁の日。あれから3年が過ぎ月日の経つ早さに驚いています。

  振り返れば、その日はトヨタクラウンロイヤルサルーンの黒塗りの町長車と助役専用車2台を廃

止した思い出の日でもあります。

  大型高級車から軽四輪車に乗り換える。そして専用運転手を配置転換し、自ら運転する。このこ

とに対して、思いもよらない賛否の声が押し寄せてきたことは、とても良い思い出として残っていま

す。 「黒塗り高級車でなければ、貫禄がない」 「何もそこまで節減しなくても」 「町長が自ら運転す

るのは危ない」 「軽四輪車は衝突した時に大ケガを負う」 など、心配を含めた有り難い意見が多

かったですね。

  私の廃車理由の一つは、運転する職員の「自由」を多くしてあげることでした。就任して以来、土

曜・日曜はほとんど行事があり、休日は数えるほどです。更に夜の会合、これもビックリするほど多

いですね。「職員の家族サービスに充てる時間を多くさせてあげたい」この思いの効果はあったと自

己評価しています。

  もう一つは、経費節減です。正職員の給料は数百万円、時間外手当を入れると、結構な金額で

す。職員不足の部署に配転させ、労働時間適正化にもメリットがあったと思っています。更に、一般

公用車も更新の際は軽四輪車に転換など、経費節減へのアピールと実践面での相乗効果も大きか

ったと思います。

  私自身得る物が沢山ありました。大きな大会に、自ら運転して来賓駐車場に着いた時のことで

す。配置されていた係りの人が、手を大きく左右にふって「ここはダメですよ」と合図されました。来賓

は軽四輪車では来ないという先入観が頭にあるんですね。「見た目だけで判断してはいけない」とい

う教訓、行政に通じるもの沢山ありますね。また、個人的にも得をしていることもいっぱいあります。

目的地に着くまでは、好きな演歌を練習出来ますし、道路に不備を見つければ、車を止めて状況を

把握する。などなどいっぱいです。最初は「軽四町長」とアダ名をつけられましたが、この頃は、トン

ト、このアダ名も耳にしなくなりました。

  最近の新聞に、「黒塗りやめた」。という見出しで、閣僚専用車が、濃紺や青のミニバンに変わっ

たことや、エンジンの大きさも排気量5千CCから2千4百CCクラスまで下げたことが載っていまし

た。時代の流れは、国民一人ひとりが求めている方向にギアチェンジしてきたことを感ずるのは、私

だけなのでしょうか。

  さて、大野町は、北海道の玄関口函館市に隣接する純農村の町です。農業振興地域のり指定を

受けているお陰で、農地は守られています。人口は1万1千人、国勢調査では北海道で一番の伸び

率でした。経済低迷の中、とてもありがたいことです。

  また、北海道新幹線着工の暁には、「新函館駅(仮称)」の設置が決まっています。政策の基本

は、新幹線が来て開発される部分を補うために、緑の優良農地を守ること、また同時にみどりの森

づくりに励み、生きた環境を守り、育てることです。

  広葉樹の下は、落葉が腐食し、土がホクホクしてジュータンの上を歩く感じがします。ところが、

針葉樹の下は、油っぽくて山野草も小木も育ちにくい環境です。ブナの木は、大きくなると一本の木か

ら20万枚の葉を落とすといわれています。木の葉が虫に羽ぶとんの暖かさをプレゼントします。虫

が葉を食べ、フンをし、土づくりに協力います。虫は雨で川に流され、やがて海へ。この虫がプラン

クトンに栄養を与え、魚のエサとなります。結果的には、魚の蛋白源となり、人間に還元されます。広

葉樹を増やすということは、環境を良くするだけではなく、人間の生活、健康にも貢献します。

  大野町の標高400から600メートルの高地に、1200ヘクタールの町営牧場があります。とても

気象条件の厳しい所です。近年、家畜の減少が著しく公共牧場の果たす役割が小さくなってしまいま

した。この牧場は、国営の草地開発される以前は大木の茂った森でした。そこで、百年の森計画を

樹て、子孫に夢をバトンタッチしようと試みています。そして、百年後、天然林茂る「大森林公園」、こ

れを正夢とするために。

 今思えば、洗心寮で仲間から得た様々な考え方、そして六本木でのアルコール、これが私を大きく

支えていることは否定できません。同期の皆さんに感謝いたします


前項へ 次項へ
目次へ

TOP   田舎都会通信  蕎麦酔夢「吉田村」  写真で語る   ブログ   リンク集